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選手から漏れる悲痛な叫び。サッカー日本代表が抱える根本的な問題「僕に決定権は必要ない」【アジアカップ2023現地取材】

text by 編集部 photo by Shinya

「誰のせいと言い切れないのが弱み」



 以前守田は「どこまでオーダーされているのかによる」と前置きしたうえで、「自分の役割がこうと決められたらそれに集中しますけど、代表チームでの僕の役割は、あまり穴をあけないとか、バランスを見るとか、そっちに寄ってしまいます」と自身の役割を認識していた。「いろいろ見えている分、気になってしまう」と率直な思いを明かし、「それで評価が下がるとしてもそれは別にいい」と割り切っていた。

 サッカーはチームスポーツである一方で、選手ごとに評価が下されるという難しい側面もある。チームが抱える問題にいち早く気づく選手は、それをどうにかしようとして試行錯誤した結果、ある種、それが異質な動きに見えてしまうことがある。それが今大会の、そして、森保ジャパンにおける守田英正という選手だった。

「僕は一ボランチとして、プレーヤーとして、チームのために考えないといけない。思考を止めることはないですけど、そこの決定権が僕にある必要はないのかなと。最後の微調整だけでいい。担っているものが重荷には感じないですけど、もっと指示が欲しいですね。いろいろ……」

 守田には戦況を冷静に見極めながら自分に求められる役割を遂行できる能力がある。ベンチからの指示があればその負担は軽減されるのだが、このチームにはそれがない。「何かが足りないのか、やろうとしていることが多くて、捨てていくべきなのか、1つに絞っていくべきなのか。わからないですね」と言うように、守田の役割はキャパシティを超えてしまっている。

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