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一体何が…。板倉滉に起きた異変。サッカー日本代表の敗因になった“決断のタイミング”とは【アジアカップ2023現地取材】

text by 編集部 photo by Getty Images、田中伸弥

板倉滉を下げるべきいくつもの理由

板倉滉
【写真:Getty Images】



 24分には相手を倒してイエローカードをもらってしまう。モハマド・モヘビが左に流れてパスをもらうと、ワンタッチで縦に抜け出そうとしたところについていけず、モヘビを倒してしまった。普段のプレーを見ているだけに、間合いを詰めるタイミングや距離感が明らかにおかしかった。

 それ以外にも堂安律へのパスが短くなってボールロストする場面もあり、微妙な距離感を全くつかめていなかった。50分には背後に蹴られたロングボールをサルダル・アズムンと競り合ったが、軽い接触で簡単に入れ替わられてしまう。68分には自身の裏にロングボールを蹴られたのだが、背後に走りこまれたサマン・ゴドスの動きに全く気づけず。いずれもオフサイドの判定に救われたが、イラク代表は明らかに板倉の背後を狙っていた。

 54分の失点シーンも問題だらけである。GK鈴木彩艶のロングキックをハーフウェイ付近で失った形だが、冨安と板倉のラインの押し上げが遅かった。中盤との間に生まれたスペースにパスを出され、板倉の背後を取ったモヘビがシュートを流し込んでいる。押し上げの遅さと背後のケアの緩さが招いた失点だった。

 板倉を下げるタイミングはいくつもあった。キックオフ直後の異変は別として、イエローカードをもらった時点で頭の片隅にはよぎるだろう。50分のシーンは普段の板倉ではありえない。54分の失点シーンも、68分にオフサイドに助けられたシーンも、決断を下すに値するシーンではないだろうか。

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