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これが森保ジャパンの限界。サッカー日本代表はお先真っ暗。選手側からSOS、もはや職務怠慢の域に【アジアカップ2023】

text by 加藤健一 photo by Getty Images

もう正直に言っていかないと」選手側から出たSOS



 守田英正は、「いろいろ考え過ぎてパンク」していたという。「正直なところもっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとか、もっと欲しいですね。それはもう正直に言っていかないと」と、半ばSOSにも聞こえる悲痛な言葉を残している。

 もちろん、ベンチからの指示がないわけではない。バーレーン代表戦の先制点につながった場面では、マンマークで対応されていた久保建英を右サイドに移すことで中央のスペースを空けて毎熊晟矢をフリーにしたが、これは監督からの指示がヒントになった。試合終盤の3バックへの変更も、もちろんベンチが主導で行われている。ただ、その回数があまりにも少なく、ベースとなる原則がないというのが守田の指摘である。

 ボトムアップは組織の形としてはあり得るが、意見を吸い上げてまとめて決断するまでに時間がかかるため、少なくとも試合中には適していない。そして、立ち返るべき根本的な原理原則がなければ、それぞれが見ている景色も揃わない。このやり方はアジアですら勝てないという現実を今大会では見せられたことになる。

 選手たちは「個の能力を上げないと」と口を揃えるように言うが、これを鵜吞みにしてはいけない。もちろん、選手自身が自分に矢印を向けることは大切で、自分自身でできることはそれしかない。ただ、よく考える必要がある。ブンデスリーガ3位のクラブのレギュラーが2試合続けて先発を外れ、UEFAチャンピオンズリーグに出場するクラブのエースが代表にすら選ばれないほど、今の日本代表は“日常”のレベルが高い。アジアという枠組みで見て、このレベルの国は日本代表しかない。客観的に見て「個のレベルが低いからアジアで勝てない」わけがない。

 それだけの選手を抱えながらのこの体たらくは、チームを預かるスタッフ側に責任があると言わざるを得ない。選手を信頼していると言えば聞こえはいいが、実態は選手任せであり職務怠慢に近い。監督を筆頭にスタッフが本来やるべきことをやっていないからこそ、選手たちに負担がのしかかり、選手に「いろいろ考え過ぎて(頭が)パンク」と言わせてしまっているのである。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は試合後、森保監督について「(進退の検討は)全く考えていません」と述べた。解任すれば解決するという話でもないが、いまのままではお先真っ暗だろう。

(取材・文:加藤健一【カタール】)

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