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セリエA 2か月前

「出来が悪い時も…」眠っていた巨人・スカマッカはなぜ覚醒したのか。変化のきっかけとは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

FW不足のイタリア代表にとっては希望に


【写真:Getty Images】



 2人は、ローマの下部組織に移り、サッスオーロでも再会を果たす。スカマッカは、少し遠回りをし、オランダ経由だった。PSVの下部組織、ヨングPSVへ16歳で移籍。ここで重要な人物と会うこととなる。オランダ、イングランド、スペインの3つのリーグで得点王を経験し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも3度得点王に輝いた元オランダ代表のルート・ファン・ニステルローイだ。「ペナルティエリア外でプレーすると、ブチ切れてね。敵陣深く切れ込み、ペナルティエリア内にとどまるように指示を受けたよ。本人の現役時代やラダメル・ファルカオの映像をよく観させられた」。当時、下部組織の育成責任者を務めていたレジェンドからストライカーとしての「イロハ」を学んだ。

 スカマッカは、2017年1月にサッスオーロに加入し、10月19日のナポリ戦でセリエAデビューを実現する。18歳だった。翌年の1月まで、3試合に出場するが、得点はなく、セリエBのクレモネーゼに貸し出され、4月14日のパレルモ戦で初ゴールをマーク。しかし、ブレイクとはならなかった。それから、オランダのズヴォレを経て、ロベルト・デ・ゼルビが指揮していたサッスオーロに復帰するものの、出場機会は得られなかった。

 こうして再び、セリエBのアスコリ、セリエAのジェノアでのレンタル生活を送り、サッスオーロに復帰した21/22シーズンに16ゴールをマークして、ついにブレイク。イタリア国外にも名が知れ渡り、2022年7月、ウェストハムに600万ユーロ(約8.4億円)のボーナスがつく3600万ユーロ(約50.4億円)で移籍を果たした。周囲やファンからの期待は大きかったが、プレミアリーグでは16試合の出場で3得点と不本意な結果に。本人が「サッカー界のNBA」と語るプレミアリーグでの挑戦は、こうして1年で閉幕。しかし、「半月板を傷めながら、1年プレーしていた。突然、プレーすることはできなくなり、それで手術を受けた」と、怪我が不調の要因だったと強調するが、怪我をしていたことを差し引いても、物足りない結果であったことは否めない。

 アタランタに加入した今季も3月まではゴールは散発的で、ガスペリーニの前述の言葉のように安定しなかった。これが、3月6日のスポルティングCP戦からゴールを量産。自らのゴールで、これまでの不評を払拭し、ガスペリーニの苦言、代表に招集されなかった悔しさをモチベーションとし、燻っていた男は劇的に変貌した。これからUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いで、セリエAの佳境を迎える。ユーベとのコッパ・イタリア決勝は、累積警告のため、出場できないが、クラブ史上初のEL準決勝の2試合が控える。そして、6月にはユーロ2024が待ち受ける。過去に前例がないほどストライカー不在に陥っているイタリア代表にとって、スカマッカの覚醒は、朗報だ。アタランタで今の好調を維持し、アッズーリの救世主となれるか、真価が問われるシーズンのラストだ。

(文:佐藤徳和)

【了】

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