先制点を呼び込んだルイス・スケリーの真骨頂
右サイドのマルティン・ウーデゴールから左SBのルイス・スケリーにパスが通ると、モナコMFエリース・ベン・セギルが激しくプレッシャーを掛ける。
これを強引に剝がして前を向くと、オフサイドラインギリギリを抜け出したガブリエウ・ジェズスに縦パスを通し、彼の折り返しをブカヨ・サカが詰めてアーセナルが先制に成功した。
彼の真骨頂とも言える一連のプレーは、ティアニーには期待できないだろう。ルイス・スケリーの偽SBとしてのセンスは随所に見られており、24分にもジェズスへと斜めのクサビのパスを通して、ウーデゴールのシュートシーンを演出していた。
先制点を呼び込んだ18歳は、64分にティンバーと交代。その後2点が入り、アーセナルが3-0の勝利を収めたが、チームメイトが立て続けの決定機を逃しただけで、ルイス・スケリーが出場していた時間帯の方がビッグチャンスは作れている。
実際にゴール期待値は後半よりも前半の方が2倍ほど高い。これはチームとして得意とする右サイドからの攻撃に偏らなかったことが要因として大きく、それを演出したのはルイス・スケリーと左インサイドハーフで先発出場したミケル・メリーノの両名のお陰だろう。
ティンバーとデクラン・ライスを同じポジションで起用した際とは左サイドの流動性が雲泥の差で、左WGのガブリエウ・マルティネッリも攻撃面では窮屈なプレーが少なかった。
こうした事情を踏まえると、しばらく怪我人が戻ってこないのであれば、ルイス・スケリーとメリーノを同時起用し続けても面白いかもしれない。
負傷者が出ないことがベストではあるが、それが新たな才能が出てくるキッカケになることもある。ルイス・スケリーの台頭はまさに“怪我の功名“で、彼自身の守備対応が大きく改善されるようであれば一気にスタメンの座を掴んでも不思議ではない。
(文:安洋一郎)