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Jリーグ 8か月前

結局、アルビレックス新潟は昨季とどう違うのか?(2)尖るか、否か。樹森大介監督のやろうとしているのは…【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

アルビレックス新潟が苦戦しているのは…

 新潟が苦戦していること、さらに言えばチームで課題として認識しているだろうことは、ボール保持によるテンポのコントロールとハイプレッシングを行えるかどうか! です。速攻を強調すればロングボール大会になり、テンポを強調すれば昨年のテンポに逆戻りとなり、バランスを取ることが難しくなっている現状です。

 ハイプレッシングに関しては、相手の状況によって思いっきりがなくなってきています。ビルドアップの出口が多彩なセレッソ、ビルドアップの起点が変化する町田に苦戦したことは偶然ではないでしょう。マリノスを相手にしたときのように、ディフェンスラインを上げて、スピードでかみ合わせをなかったことにする作戦がベターでしょう。町田戦のように1列目は損な役回りを果敢に行ってくれるに違いありません。

 ただし、ハイプレッシングが機能していないときは、自陣に下がっての対応になるので、どうしても相手がボールを保持する時間が長くなります。この状況に耐性があれば問題はありませんが、この状況に耐性がないと、相手のボールを保持する時間を削るために、自分たちのボールを保持する時間を長くしたくなります。その振る舞いがボール保持の課題と言われますし、本当の根っこはどこにあるのだと考えると、サッカーは攻守一体だねと実感させられる瞬間でもあります。

 リードした状態の試合運びにも怪しさが垣間見えます。リードしているときの定跡は、ゴール前に守備を固め、カウンターを狙いながら時間の経過を狙うことです。ただし、撤退守備を習慣としていなければ、たこなぐりにされ、最終的に決壊するのが常です。サッカー的には正しい振る舞いだったとしても、新潟的には正しくないということが起きるのがサッカーというスポーツの複雑性を表しています。

 そして、これらの根本原因はボール保持が必要な時間帯に限って、相手の対策によって効果的でなくなることではないでしょうか。

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