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コラム 1か月前

躍進はマンUのおかげ?ニューカッスルが手にした“あるスペシャリスト”。強度が命のクラブにうってつけの人物とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

10ヶ月間離脱したトナーリの復帰にも貢献

トナーリ
【写真:Getty Images】

 前章で「欧州カップ戦に出場していないのも負傷者を抑えられた理由」と述べたが、昨季と今季の試合数の差は3試合しかない。比重の大きさで言えばバンス氏の招聘が大きかっただろう。

 注目すべきは、仮にアシュワース氏が今季もニューカッスルでSDを務めていれば、この人事が実現する可能性は限りなく低かったということ。チームの主要人物が引き抜かれたことによって、結果的に怪我人が減る。まさに“怪我の功名”だ。

 実際に各選手の怪我事情を過去の事例と比較すると、バンス氏招聘の効果は如実に表れている。

“鉄人“ギマランイスの通年稼働は通常として、昨シーズンに複数試合を欠場したファビアン・シェアとダン・バーンの両CBもフル稼働。アンソニー・ゴードンやアレクサンダル・イサクも離脱した期間こそあるが、相手のタックルや骨折など、疲労の蓄積による怪我ではなかった。

 特筆すべきが、昨年10月から約10ヶ月間離脱をしていたトナーリへの対応だ。復帰後は代表戦を含めると46試合中45試合に出場しており、そのほとんどが先発。この難しい状況にも関わらず、メディカル班の入念なコンディション管理が功を奏して、試合勘不足が懸念をされた中でも一度も離脱をしていない。

 中にはルイス・ホールやスヴェン・ボトマン、ニック・ポープのような長期離脱を余儀なくされた主力もいるが、ディフェンスラインがほぼ壊滅状態だった昨季と比べれば大幅に改善されていることは間違いない。

 パフォーマンス・ディレクターのような裏方の重要性や役割は、ただ試合を見ているだけでは伝わりにくい。その存在がよりフォーカスされるのは、カラバオ・カップ優勝に伴い欧州カップ戦に出場することが確定している来季以降になるだろう。

 今季を上回る過密日程の中でもニューカッスルのアイデンティティである「強度」と怪我人の抑制を両立させることができれば、彼の評価、そして「パフォーマンス・ディレクター」という職務により注目が集まるはずだ。

(文:安洋一郎)

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