異国の地でサッカーをする孤独とプレッシャー
「全くもってパスが来ない」
考えてみれば当たり前のことです。ヨーロッパの中でも特に寒さの厳しいドイツの冬の中断期間に、誰も知らない日本人がポッと来たところでパスなんか誰も出さないでしょう。
言葉が通じずサッカーのプレーそのものでしか自分を表現するものはなく、日本でのキャリアなんて誰も知りません。パスが来ないなら守備でボールを奪ったり、こぼれ球への嗅覚を早くしたりと工夫するしかない。
異国の地でサッカーをするとはこういうことなのか、と大きな衝撃を受けました。
日本人チームで遠征するわけではなく、外国人の中に日本人1人だけでプレーする意味、孤独さ、プレッシャーは計り知れません。
この日から改めて海外でプロとしてサッカーをする日本人選手へのリスペクトがさらに深くなりました。
想像する以上に孤独で、不安やストレスの中、日々戦っています。
毎試合、いや毎日の練習で自分のいる価値を示さなければすぐに居場所はなくなる。
僕はたった10日間でしたが、異国で外国人としてプレーするということはそんな環境で生き抜くことだと痛感しました。
ただ一方で、信頼を掴むと態度が180°変わるのも日本にはない感覚でした。
パスが来なくてもボールを奪って仕掛けたり、たまたま来たパスでゴールに繋げたりすると、一気にパスが来るようになります。
こちらからコミュニケーションを取ると快く話をしてくれたり、練習メニューがわからず苦労をしていると優しく英語で教えてくれたりと、信頼関係ができ仲間としてフレンドリーに接してくれました。