9位:ホジェル(ブラジル)

【写真:Getty Images】
生年月日:1985年1月7日
移籍日:2010年7月1日(当時25歳)
移籍元:サンパウロ(ブラジル)
移籍先:柏レイソル
移籍金:80万ユーロ(約1億2800万円)
柏レイソルは2010〜11年にかけて、J2・J1を連覇するという快挙を成し遂げた。
その時期にやってきたホジェルは、80万ユーロ(約1億2800万円)の移籍金で迎えられたが、静かに姿を消した。
2009年途中からネルシーニョ監督が指揮を執った柏は、2010シーズンに向けてレアンドロ・ドミンゲスを獲得。その後、ECヴィトーリア時代に同僚だったホジェルが夏に加わった。
当時の前線ではレアンドロと北嶋秀朗が主力として活躍しており、ホジェルは途中出場が中心に。J1に昇格した2011年はさらに出番が減り、夏にブラジルへ復帰した。
ただ、のちに明かされた私生活を知ると、その背景にある葛藤が垣間見える。
2017年、ボタフォゴで活躍していたホジェルをブラジルのテレビ番組が特集。当時11歳の娘ジュリアさんは生まれつき全盲で、音声を頼りに父のゴールを“観戦”していた。
番組では父のゴールシーンを3Dプリンターで立体的なレリーフとして再現し、娘が手で触れて“ゴールの瞬間”を感じられるように演出。感動を呼んだ。
夫妻は、生後3カ月で娘の失明を知って以来、あらゆる治療を模索。ジュリアさんが3歳のときには、中国に45日間滞在し、1日8本の注射を受ける過酷な治療もした。
タイでの“革新的治療”にも望みをかけようとした矢先、10歳のジュリアさんはこう言ったという。
「もうやめてくれない? 私はこのままで幸せだよ」
この言葉をきっかけに、家族は治療をやめる決断を下した。
日本では目立った結果を残せなかったホジェルだが、背負っていたものを思えば、それを単なる「失敗」とは呼べない。