「それを求められて移籍してきた」

　そして、75分にはペナルティーエリア手前左の位置で得たフリーキックをMF日高大が決め切り逆転に成功。逃げ切りを図る千葉は残り10分となったところで5バックに変えて、いわきの勢いに対抗するが、83分にセットプレーからDF深港壮一郎にヘディングシュートを食らい失点を喫すると、2-2のまま試合を終えた。

　一度は逆転しただけに悔いの残る結果となったが、最後の最後まで手拍子と声援は止まることがなく、目標に向かって突き進む一体感が、ここにはあった。

「勝たなければいけない試合にも関わらず、最後まで後押ししてくれたことは、次に向かうための切り替えをサポーターがしてくれたと感じています。僕たちに下を向いている暇はないので準備をして、次の試合ではRB大宮アルディージャを叩く。そこで喜びを分かち合いたいと思います」とイサカは前を向く。

　内容は悪くなかっただけに痛いドローとなったが、2022年に横浜FCのJ1昇格に貢献したイサカの加入はチームにプラス材料をもたらしていた。

　また、これまで右サイドの主役を担ってきたFW田中和樹が左膝の負傷により、全治8ヵ月の長期離脱を余儀なくされるなか、欠けていたピースが埋まったと言えるだろう。

「（田中）和樹や他の選手がプレーしてきた想いを背負わなければいけないと思っていますし、それを求められて移籍してきた部分もあります。優勝やJ1昇格が狙えるチームなので、それを達成するためには、自分の数字が必要になるので、そこに向き合いたい」

　自動昇格を目指すチームに左の椿、右のイサカという力強い両翼が揃った意味は大きい。チームのストロングが発揮されればされるほど勝機は高まるはずだ。

　残り14試合――。新たな翼を得た千葉は力強く羽ばたき、最高到達点を目指していくだけである。

（取材・文：石田達也）

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