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Jリーグ 3か月前

「俺もすぐだから」小泉佳穂は細谷真大に伝えていた。柏レイソル大逆転劇の裏側「スッカスカになっている感覚」【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 photo by Getty Images

「前半の選手のおかげで自分たちが点を獲れている」

 気温と湿度が高い環境下で相手を動かし疲弊させ、精神的にもダメージを与えた。そして攻撃の精度を低下させるなど、自らに課した仕事はやってのけた。「相手を走らせてスッカスカになっている感覚はあった」とし、「それが自分の仕事の大きな1つだと思っていました」と役割を全うした充実感を示した。

 あとは柏のアタッカー陣の嗅覚が試されたが、それを嗅ぎ分けたのが細谷だった。83分、相手を背負ったままMF仲間隼人からのパスを受け、瀬川につなぎ、ゴール前に侵入すると思い切り左足を振り抜きゴールネットを揺らした。

「(パスを)出してから、もう一度受けにいくことを今シーズンは意識していることなので得点につながって良かった」とコメントした。

 さらに「チーム全体の強さだと思いますし、前半出ている選手が体を張ってプレーすることで、自分たちが楽にプレーできると思っています。前半の選手のおかげで自分たちが点を獲れていると思います」と、相手を疲弊させ、ここまで試合を作ってきた選手に感謝の言葉を述べた。

 ゴール方向にベクトルを向ける柏のパワーを押し返すことができない浦和に勝ち目はなかった。90分には左サイドのMF小西雄大がドリブルで突破し、角度のない位置からシュート性のクロスを放つとファーサイドのネットが揺れるスーパーゴールを決めて逆転に成功する。

 そして浦和の息の根を止めたのは90+6分、小屋松のシュートがポストに当たり跳ね返ったところをMF久保藤次郎が押し込み、柏の勝利を告げるタイムアップの笛が鳴り響いた。

 ベンチ前でリカルド・ロドリゲス監督やコーチ、スタッフ陣、チームメイトと喜びを分かちあった背番号8は「(リーグ戦は)長いので、本当に1試合1試合の積み重ねなので良い意味で一喜一憂せずに目の前の1試合を全力で。最後の最後にタイトルを獲れていればいいので過程は関係ない。とにかく1試合を大事にしていきたいと思っています」と前を向いた。

 山あり谷ありの熾烈なタイトル争いはさらに激しさを増すだろう。王者の証であるシャーレを掲げシーズンを振り返った時に、あの逆転勝利があったからと言える日が来ることを祈っている。

(取材・文:石田達也)

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【了】
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