フットボールチャンネル

J1 4時間前

「僕はそれを証明したい」サンフレッチェ広島、大内一生の不安は自信へ。大迫敬介に「少しでも喜んでもらえるように」【コラム】

大内一生 サンフレッチェ広島
サンフレッチェ広島でプレーする大内一生【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドの全日程が終了した。4位フィニッシュしたサンフレッチェ広島は、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)も並行して戦い、変則的な日程にも対応する必要があった。日本代表の活動およびFIFAワールドカップ(W杯)の影響で、出場機会を得た守護神がいる。J3の松本山雅FCから移籍してきた、大内一生だ。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ地域リーグWEST第18節
サンフレッチェ広島 4-2 名古屋グランパス
エディオンピースウイング広島

「自分が出て、もしかするといい流れが途切れるかも…」

サンフレッチェ広島対名古屋グランパス
サンフレッチェ広島対名古屋グランパスの模様【写真:Getty Images】


 メインスタンドの一角から特別な視線を感じながら、今シーズンからサンフレッチェ広島に加入した25歳のゴールキーパー、大内一生はホームのエディオンピースウイング広島のピッチに立っていた。

 名古屋グランパスと対峙した、23日の明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドWESTグループ最終節。試合後には守護神の大迫敬介を、森保ジャパンへ送り出す壮行セレモニーが予定されていた。

 主役を担う大迫はしかし、名古屋戦の先発はおろかリザーブにも名を連ねていなかった。

 大迫を欠いた陣容で戦う百年構想リーグのプレーオフラウンドへ。 広島のバルトシュ・ガウル監督から先発を告げられた大内は武者震いに駆られた一方で、プレッシャーも感じていたと打ち明ける。

「チームの流れがよかったなかで自分が出て、もしかするといい流れが途切れるかもしれない。一瞬ですけど、試合前にそう思ったのがちょっとしたプレッシャーになっていたかもしれないですね。

 長年にわたって、広島のゴールキーパー陣の本当に高い基準といったものを敬介くんが作ってきた。その意味でも敬介くんが出なくなったからチームが崩れてしまうと、余計に責任を感じてしまうので」

 だからこそスタンドでの観戦に回った大迫から、キックオフ前にかけられた言葉が胸に響いた。

57日後のリベンジマッチ「本当に最高でした」

サンフレッチェ広島
ACLEを戦ったサンフレッチェ広島【写真:Getty Images】


「とにかく『楽しんで』と言ってくれて。ゴールキーパーチームのなかで出られるのは1人だけという複雑なポジションですけど、敬介くんを含めて、本当にいい関係で普段の練習からやれている。

 誰が試合に出ても他のみんながその選手をサポートする、といった流れができていますし、そのなかで勝って敬介くんをワールドカップに送り出そう、と。その通りになってホッとしています」

 J3の松本山雅FCから加入した今シーズン。大内がゴールマウスを守るのは2試合目だった。

 広島とヴィッセル神戸がAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)の東地区ラウンド16を戦った関係で、国際Aマッチ期間中の3月27日に後ろ倒しされた第5節。代表に招集されていた大迫は不在だった。

 敵地・ノエビアスタジアム神戸で広島でのデビュー戦に臨んだ大内は、84分に扇原貴宏、アディショナルタイム94分には大迫勇也に連続ゴールを許して、1-2と逆転負けを喫していた。

 連敗中だったチームの悪い流れを止められなかった試合後に、大内は「自分とチームの成長に目を向けていきたい」と捲土重来を誓った。あれから57日。再び大迫を欠いた一戦でリベンジの機会を得た。

 しかも、今度はホーム。大内は「本当に最高でした」と、特に後半の光景に声を弾ませた。

「後半はすべてがチームカラーの紫色に染まったゴール裏のスタンドが、常に自分の視界に入ってくる。本当にすごいスタジアムでプレーしているんだと、あらためて思っていました」

 広島を救った大内のビッグセーブが飛び出したのはその後半。3-1とリードしていた51分だった。

「時間帯的にあそこでやられていたら…」

名古屋グランパス
奮闘を見せた名古屋グランパス【写真:Getty Images】

 左コーナーキック(CK)を徳元悠平が後方に下げてタイミングをずらし、すかさず高嶺朋樹が利き足の左足をワンタッチで振り抜く。インスイングから絶妙のクロスがファーへ放たれた直後だった。

 塩谷司との競り合いを制した木村勇大が、完璧なタイミングで宙を舞って頭をヒットさせた。

「あの場面ではうまく対応できたと思いますけど、未然に防げた部分もあったというか…」

 至近距離から放たれた強烈なヘディングシュートにとっさに反応。両手で真上へ弾き、名古屋の勢いを削いだ大内は自身のセーブよりも、木村にシュートを放たれるまでの過程に目を向けている。

「フリーで飛ばれていたと思うので、しっかりと寄せる部分を含めて、チームとして修正していく必要がある。時間帯的にあそこでやられていたら、相手も勢いに乗って連続失点もありえたかもしれないので」

 イタリア人の父親と日本人の母の間に生まれた大内は、9歳までの日々をミラノで過ごした。

 いまもネイティブレベルでイタリア語を操れる。アカデミーから2019シーズンに昇格した横浜FCでは、セリエAでプレー経験のあるカズ(三浦知良)とイタリア語で会話をかわして周囲を驚かせた。

 イタリア時代を振り返れば、大内はいつしかゴールキーパーに憧憬の思いを抱いていた。キーパー大国でもあるなかで、レジェンドのジャンルイジ・ブッフォンが眩いスポットライトを浴びていたからだ。

 それでも、帰国した日本でも続けたサッカーではフィールドプレイヤーだった。大きなターニングポイントが訪れたのは小学校6年生のときだったと、大内が懐かしそうに振り返る。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!