
セレッソ大阪の横山夢樹【写真:Getty Images】
セレッソ大阪の横山夢樹が、一気にブレイクの気配を漂わせている。名古屋グランパス戦で待望の加入後初ゴールを含む2得点を決めると、続くファジアーノ岡山戦でも鮮烈な2ゴール。20歳のアタッカーは、プレーの幅を広げながら、秘めていた才能を一気に開花させようとしている。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンドWEST第18節
ファジアーノ岡山 2-3 セレッソ大阪
JFE晴れの国スタジアム
「そういったところがいまに…」

2試合連続2ゴールを挙げたセレッソ大阪の横山夢樹【写真:Getty Images】
たった1週間でコメントが大きく変わっていた。
今シーズンにJ2のFC今治から加入したセレッソ大阪で、明治安田J1百年構想リーグ出場16試合目で待望の初ゴールを含めて2発を決めた17日の名古屋グランパス戦後。横山夢樹は第一声をこう切り出した。
「ホッとしています」
ひるがえって24日のファジアーノ岡山との地域リーグラウンドWESTグループ最終節。20歳のアタッカーは開始8分の先制弾に続いて、エンドが変わった56分には追加点を決める大活躍を演じた。
名古屋戦での2ゴールが自信になったのか。こう問われた横山はちょっぴり胸を張っている。
「もともと自信があったので」
さらに続いた言葉に、無得点から一転、2試合で4ゴールを量産した理由が凝縮されていた。
「最近は外だけじゃなくて、中にもけっこうポジションを取ろうとしているなかでシュートシーンというものも増えているので、そういったところがいまにつながっている要因だと思っています」
右足で豪快に決めた岡山戦の1点目は、主戦場とする左サイドではなく逆の右サイドから決めた。
「あの角度は練習でも…」

アーサー・パパス監督とハイタッチするセレッソ大阪の横山夢樹【写真:Getty Images】
「左から右に裏へ抜けていったタイミングで、味方がリズムを作りながらパスをつないでいたので、自分もそこで絡もう、といった感じでずっと動き出しを繰り返していた。そこでうまくボールが入りました」
敵陣右サイドのタッチライン際で、キャプテンの田中駿汰、石渡ネルソン、チアゴ・アンドラーデ、ディオン・クールズ、柴山昌也が短いパスをテンポよくつないで岡山の選手たちをひきつける。
そして中へ切れ込んできたクールズが、石渡のパスを受けた直後に左足を振り抜いた。
縦パスのターゲットとなった横山は、左から右へスルスルとポジションを移しながらボールを引き出す。ペナルティーエリア右側でボールを受けると、そのまま前方へ運び、味方のアンドラーデを追い越した瞬間にも迷いはなかった。
「とにかく右足を振り抜こう、と。あの角度は練習でもけっこう得意にしていたので」
横山がシュートを放った場所から相手ゴールまでは、角度がほとんどなかった。縦パスを受けてから次のプレーを考えるのではなく、最初から自分がシュートを打つと決めていた証と言っていいだろう。
さらに岡山のキーパー濵田太郎の頭上を、強烈な弾道で撃ち抜いた先制弾を横山はこう振り返った。
「キーパーもおそらく…」

セレッソ大阪の中島元彦(右)と横山夢樹(左)【写真:Getty Images】
「うまく相手キーパーの上へいきました。キーパーもおそらく、なかなか飛んで来ないだろうなと思っていたコースのはずなので、うまく意表を突くような形で決められて本当によかったと思っています」
主戦場の左サイドで張りながら、味方からのパスを待っているだけではない。プレーの幅を広げ、ドリブルだけでなくシュート、味方へのパスを意図的に融合させた発想がゴールにつながった。
対照的にカウンターから追加点を奪うまでの過程で、横山はミスを犯していたと打ち明ける。
自陣の中央で相手のパスミスを拾った石渡からパスを受けた中島元彦が、中央をドリブルで駆けあがる。
右の柴山、真ん中のアンドラーデとともに、左側を疾走していた横山はこう考えていた。
「モッくん(中島)からいいところにパスが出てくるとわかっていたので、信じて走っていきました」
中島は名古屋戦で完璧なスルーパスを一閃し、横山の移籍後初ゴールをアシストしていた。この場面でも中島は3人のうちの左側を選択。横山がイメージしていた通りに絶妙のパスを通した直後だった。
「タッチがちょっと長くなったかなと思ったんですけど、うまく修正できたのでよかったです」
横山の前方へ予想を超えて転がっていくボールを目がけて、濵田が勢いよく飛び出してくる。
しかし、右足でタッチする際にミスをしたとわかっていた横山もまったく慌てない。前へ進むギアをひとつあげて、濵田の眼前でボールに優しくタッチ。華麗なループシュートを無人のゴールに吸い込ませた。