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予想外。日本代表がハイプレスをしなかった。采配の意図が見えなかったオランダ代表とは対照的だった試合を見る眼【西部の目/北中米W杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 フリーライター/戦術ライター photo by Getty Images, Shinya Tanaka
サッカー日本代表 オランダ戦
オランダ代表戦後のサッカー日本代表【写真:Getty Images】



 2度リードを奪われながら、サッカー日本代表は冷静に試合を動かし続けた。57分に中村敬斗が技ありのカットインシュートで追いつくと、終盤は4-4-2へと攻撃的にシフト。89分、伊東純也のコーナーキックから小川航基のヘッドが鎌田大地に当たってゴールに吸い込まれ、土壇場で2-2に追いついた。守備固めに舵を切ったオランダと、最後まで攻め手を繰り出した日本。終盤の采配の差が、このドローに意味を与えた。(文:西部謙司)[1/2ページ]

ガクポはもう少し抑えられると…


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コーディ・ガクポ オランダ
オランダ代表FWコーディ・ガクポ【写真:Getty Images】


 拙著『サッカー日本代表 マッチングレポート』(KANZEN)で予想したとおり、初戦は2-2のドローとなった。

 日本が決勝まで勝ち上がる前提でグループステージ3試合、ノックアウトステージはそれぞれ可能性のありそうな2チームとの対戦をシミュレートしている。

 スコアは予想どおりだったが、そこにさして意味はない。決勝進出のためには2位通過がいいだろうという勝手な都合のためにドローとしたに過ぎないからだ。

 試合内容は予想どおりのところもあれば違っていたところもあった。予言者ではないので、内容結果がピタリと当たるとは最初から思っていない。観戦のための前提、予備知識のために書いている。

 オランダがボールを保持するが、日本のローブロックを簡単には崩せないのは予想できた。今回のオランダはコーディ・ガクポの個人技以外に崩しのルートがあまりない。

 ただ、ガクポはもう少し抑えられると思っていた。予想では伊東純也と堂安律のダブル・チームでガクポに対するはずだったが、実際には久保建英と堂安。ガクポ得意の深いアウトの切り返しに2人まとめて外されるなど、かなりの苦戦を強いられた。

情報戦は互いにほぼ“ノーガード”

サッカー日本代表、森保一監督
日本代表の指揮を執る森保一監督【写真:田中伸弥】


 オランダがハイプレスしてこないのも予想どおり。ただし、5-4-1のブロックで守備をするとは考えていなかった。

 フレンキー・デ・ヨングがディフェンスラインに入って5バック化していた。日本への警戒が表れている。

 ただ、デ・ヨングは試合前にインタビューに答えて、自分が下がることについて話していたから、もしその動画を見られていれば日本側には筒抜けだったと思う。

 一方、前田大然のシャドー起用についてもネット上でその可能性が示唆されていて、こちらもオランダ側が見ていれば予期できていたはず。隠したいこともオープンになってしまう時代といえばそうなのかもしれない。

 どちらも5-4-1のブロック。ボールを得れば、どちらもある程度は運んでいける。相手のローブロックをどちらが崩せるかという展開は極めて静的に過ぎていった。

日本が後半も“そのまま”だったのは予想外

谷口彰悟
最終ラインの真ん中で先発起用された谷口彰悟【写真:Getty Images】


 後半、日本は奇襲的なハイプレスに出ると予想していた。しかし、そうしなかった。できなかったのか、しなかったのかはわからないが、たぶん後者だと思う。

 前半をブロック守備中心にやり過ごすだろうとは思っていた。オランダのパスワークは定評があり、無理にプレスすればカウンターされてしまうリスクがある。今回のオランダで恐いのはカウンターなので、日本が前半からリスクを冒す可能性は低かった。

 しかし、後半もそのままだったのは予想外。0-0だったことでまだタイミングではなかったということかもしれない。その機会をオランダが与えなかったともいえる。

 ハイプレスは時間を決めてやるのは難しく、その気はあっても状況が許さないこともある。ただ、日本は冷静に試合を進めていた。

 51分、オランダが先制。ガクポへのファウルで与えたFKからのクロスボールはいったん跳ね返したが、オランダはクリアボールを拾ってライアン・フラーフェンベルフがクロスを入れ、フィルジル・ファン・ダイクが丁寧なヘディングで決めた。ボールに回転をかけてポストに当てて入れる。

 フリーで蹴られた時点でFKと同じ。しかしFKではないので、最も警戒すべきファン・ダイクには渡辺剛しかついていなかった。

 セットプレーの時は渡辺と助走路を妨害する選手の2人でマークしていたが、この時は1人。ボールが渡辺を越えたところで勝負ありだった。

 6分後の57分、久保のパスから中村敬斗が技ありのシュートで追いつく。左サイドで久保が複数の相手を引きつけて中村へパス。中村は自陣方向へ戻るドリブルから、DFの歩調をずらしてニアへ決めた。相変わらずの決定力だ。

 64分、クリセンシオ・サマーフィルが右からカットインして見事なシュート。再びオランダのリードとなった。立ち上がりから、細かいステップと瞬間的な加速で右サイドから仕掛けていた厄介な相手だった。

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