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予想外。日本代表がハイプレスをしなかった。采配の意図が見えなかったオランダ代表とは対照的だった試合を見る眼【西部の目/北中米W杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 フリーライター/戦術ライター photo by Getty Images, Shinya Tanaka
サッカー日本代表 オランダ戦
オランダ代表戦後のサッカー日本代表【写真:Getty Images】



 2度リードを奪われながら、サッカー日本代表は冷静に試合を動かし続けた。57分に中村敬斗が技ありのカットインシュートで追いつくと、終盤は4-4-2へと攻撃的にシフト。89分、伊東純也のコーナーキックから小川航基のヘッドが鎌田大地に当たってゴールに吸い込まれ、土壇場で2-2に追いついた。守備固めに舵を切ったオランダと、最後まで攻め手を繰り出した日本。終盤の采配の差が、このドローに意味を与えた。(文:西部謙司)[2/2ページ]

終盤の采配に明暗

ロナルド・クーマン監督
オランダ代表を率いるロナルド・クーマン監督【写真:Getty Images】


 日本は66分に前田に代えて伊東。切り札の登場だ。

 オランダも70分に3人交代。ドニエル・マレン、サマーフィル、タイアニ・ラインデルスに代ったのはメンフィス・デパイ、トゥーン・コープマイネルス、クインテン・ティンバー。CFデパイを除けば同じポジションに守備型の選手を置いた。

 75分、日本も3枚替え。こちらは4-4-2へのシフトで攻撃的な交代策。負傷した久保の交代は予定外だったろうが、右の伊東、左の中村、中央に上田綺世と小川航基の2トップとした。伊東と右SBに入った菅原由勢のコンビで攻め込む。

 久保を失ったのは痛いが、約20分間と予想される残り時間に攻め方をはっきりさせた効果はあった。

 オランダは81分にMFフラーフェンベルフに代えてDFナタン・アケを投入。デ・ヨングの可変による5バック化ではなく、はっきりと5バックとした。さらなる守備強化である。

 攻める日本、守るオランダの構図がより明確になり、伊東の攻め込みで得たCKから小川航基がヘディングシュート、それが鎌田大地に当たってゴール。

 その間、オランダは5-4-1からブライアン・ブロビー投入で5-3-2に変えていて、守り切るのか少しは攻めたいのか采配の意図がよくわからない。一方、守りに入ったオランダに対して攻撃カードを切っていった日本の交代は明確だった。

 2-2の後、オランダがまた攻め始めるが、すでに守備型に舵を切っていて決め手を欠いた。

 日本の同点弾は89分なので、辛うじて引き分けに持ち込んだ格好ではあるが、試合の内容は両者に大きな差があったわけではなく妥当な結果だと思う。

 やや優勢ながら試合の終わらせ方に失敗したオランダ、追い込み策を用意していた日本。それが僅差を埋めたといえるかもしれない。

(文:西部謙司)

【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン)、近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。

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