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「相手が寄せてこない」日本代表のジョーカー、伊東純也が終盤に見抜いたオランダの綻び【北中米W杯コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by 田中伸弥, Getty Images
イングランド代表戦のサッカー日本代表 伊東純也
サッカー日本代表MF伊東純也【写真:田中伸弥】



 2度リードを許しても、サッカー日本代表は動揺しなかった。焦らず、引かず、ゲームプランを貫き続けた89分間。終盤の3枚替えが右サイドに推進力を生み、伊東純也と小川航基の「意思疎通」が生んだヘッドで土壇場の同点を引き寄せた。個の能力で奪ったオランダ代表に対し、組織と継続性で追いついた日本。この勝ち点「1」には、それ以上の意味がある。 (取材・文:河治良幸)[2/2ページ]

「あそこしかないと思った」

サッカー日本代表、森保一監督
チームの指揮を執る森保一監督【写真:田中伸弥】


「ゾーンを見た時に、あそこしかないと思った。純也君もそれを分かっていて、本当に意思疎通が合った」

 背番号「19」のヘディングシュートは、鎌田大地の頭をかすめてゴールへ吸い込まれた。オランダの2得点が個の能力によって生み出されたものだったとすれば、日本の2得点は組織と継続性がもたらしたものだった。

 失点してもプランを捨てない。焦って前掛かりにならない。相手の質を認めながらも、自分たちの強みを信じて戦い続ける。その積み重ねが中村の同点弾を生み、終盤の猛攻を呼び込み、終盤の同点撃につながった。

 森保監督は「オランダ相手にこのW杯の舞台で勝ち点1を取れるチームがどれだけあるか。2回リードされた状態から勝ち点1を取ることは簡単ではない」と語った。

 もちろん、日本の目標は引き分けではない。森保監督自身も勝ち点3を狙っていたと強調している。それでも、この勝ち点1は単なる引き分け以上の意味を持つ。

 強豪を相手に、ゴールにも動揺せず、やるべきことを見事に実行して貫いて追い付いた。その冷静さとたくましさは、日本代表が確実に世界基準へ近づいていることを示していた。

 ダラスで手にした勝ち点1は、グループリーグ突破へ向けた大きな一歩であると同時に、このチームがさらに上を目指せることを証明した価値ある勝ち点1だった。

(取材・文:河治良幸)

【著者プロフィール:河治良幸 フリーライター】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji

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