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J1 5時間前

「悔しいですね」関川郁万が盟友との対戦で痛感した課題。それでも胸を張った最後のカバー「いつかはシュートをかき出せる」【コラム】

鹿島アントラーズ 関川郁万
鹿島アントラーズ 関川郁万【写真:Getty Images】



 勝利の歓喜に沸く一方で、関川郁万には拭いきれない悔しさが残っていた。目の前で決められた一発が、守備者としての悔しさを強く突きつけたからだ。何年もの時間をともに過ごしてきたからこそ、誰よりもよく知る相手。その存在は、関川にとって特別な刺激であり、負けたくないという思いをより強くさせるものでもあった。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

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明治安田J1リーグ第3節
鹿島アントラーズ 3-2 アビスパ福岡
メルカリスタジアム

「ゴールを決められちゃったので」

アビスパ福岡 師岡柊生
古巣から同点ゴールを挙げたアビスパ福岡の師岡柊生【写真:Getty Images】


 待ち焦がれてきたマッチアップを心から楽しめた。充実感も覚えた。さらに横浜F・マリノス、名古屋グランパスに続いてアビスパ福岡にも3-2で勝利し、2014シーズン以来となる開幕3連勝をマークした。

 それでも鹿島アントラーズのセンターバック(CB)関川郁万は「悔しいですね」と口にした。

「ゴールを決められちゃったので」

 画竜点睛を欠いた、という思いが何度も頭をもたげてきた。視線の先には今年前半の明治安田J1百年構想リーグまで鹿島で共闘した盟友で、6月に福岡へ完全移籍したアタッカーの師岡柊生(しゅう)がいた。

 苦笑いとともに関川を悔しがらせた失点場面は、鹿島が1点をリードしていた43分に訪れた。

 鹿島陣内のペナルティーエリアの左角あたりで生じた混戦。こぼれ球をめぐって鹿島の松村優太と福岡の見木友哉が激しくぶつかり、弾んだボールを拾った福岡の前田快がそのまま中央へ切れ込んでいく。

 次の瞬間、2027年から福岡への加入が決まっている神奈川大学の4年生で、JFA・Jリーグ特別指定選手として百年構想リーグに続いて福岡でプレーする前田が迷わずに右足を一閃した。

 強烈な一撃は弧を描いて鹿島ゴールの右を急襲する。目の前でワンバウンドする難しい弾道にもかかわらず、日本代表に名を連ねる守護神・早川友基が懸命にセーブ。ボールを逆方向へ弾いた。

 しかし、こぼれていったボールの先に、右シャドーで先発を果たしていた師岡がいた。しかもシュートの行方に見入っていた鹿島の左サイドバック、小川諒也の背後を突く形で一瞬早く動き出している。

 すぐに起き上がった早川が体勢を立て直す間に、関川は自軍のゴールへ向かって走っていった。

自身の判断に胸を張った関川郁万

鹿島アントラーズ 関川郁万
鹿島アントラーズ 関川郁万【写真:Getty Images】


「やはり独特のプレーをするし、何をしてくるか、本当にわからないんですよ」

 師岡のプレーに対して、関川はこんな思いを抱いていた。しかし、この場面における選択肢はひとつだけ。こぼれ球を利き足の右足のワンタッチで押し込んでくる。予想通りのシュートが早川の股間を射抜いた。

 万事休す、と思われた直後。無人と化したゴールへのカバーに戻っていった関川の右足がボールに触れる。しかし、弾き返すまでには至らない。関川の体だけでなくボールもゴールラインを割ってしまった。

 移籍後で3試合目の出場で初ゴールを決めた師岡は、カバーに入ったのが関川だとわかっていた。

「見えていました。何だかすごくスローに感じられましたけど、本当にうれしかったです」

 盟友に決められたゴールを悔やんだ関川は、とっさにカバーに回った自身の判断には胸を張った。

「あのような場面で、いつかはシュートをかき出せるときが来る。(カバーを怠らなければ)ゴールキーパーもさらにチャレンジしていく姿勢を出せると思うので、コツコツとやり続けていきたい」

八王子で始まった両者の縁

鹿島アントラーズ 関川郁万、アビスパ福岡 師岡柊生
鹿島アントラーズの関川郁万とアビスパ福岡の師岡柊生【写真:Getty Images】


 ともに2000年に東京都八王子市で生まれた、関川と師岡が初めて出会ったのは2010年。関川が八王子市立みなみ野小学校の、師岡が同大和田小学校の4年生のときにサッカーの八王子市選抜に招集された。

 中学生になってからは、元日本代表の関口訓充(現・ジョイフル本田つくばFC)を輩出したFC多摩のジュニアユースの第19期生としてチームメイトとなり、関川は守備、師岡は攻撃の中心を担った。

 中学卒業後は、関川は千葉県の流通経済大学付属柏高校、師岡は山梨県の日本航空高校へそれぞれ進学。高校3年間では公式戦での対戦はなく、練習試合が一度組まれただけだったという。

 高校サッカー界屈指のCBとして2019シーズンに鹿島へ加入し、ひと足早くプロになった関川に対して、師岡は東京国際大学へ進学。2022年8月には卒業後のジュビロ磐田への加入が内定した。

 しかし、ブラジル出身のファビアン・ゴンザレスとの契約規律違反に伴い、国際サッカー連盟(FIFA)から新規の選手登録禁止処分を科された磐田は、師岡との仮契約を取り消さざるをえなくなった。

 磐田への内定取り消しが発表された2022年11月17日。師岡へオファーを出していた鹿島への加入が急転直下で決まり、FC多摩ジュニアユース以来、実に8年ぶりとなる関川との再会が決まった。

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