
早くJ1で見たい!J2で注目を集める監督たち【写真:Getty Images】
2026/27シーズンの明治安田J2リーグは開幕からまだ数節だが、J1昇格を懸けた長丁場の戦いがすでに進行中。指揮官の采配ひとつでチームの状況は大きく変わり、一挙手一投足が勝敗を分ける。本稿では、J2で戦うチームに著しい成果をもたらす指揮官を5名紹介する。[2/5ページ]
森山佳郎(もりやま・よしろう)

ベガルタ仙台を率いる森山佳郎監督【写真:Getty Images】
生年月日:1967年11月9日
所属クラブ:ベガルタ仙台
2026/27シーズンJ2リーグ成績:2勝1分1敗
【U17アジアカップで披露した驚異的な破壊力】
森山佳郎の説得力は、育成年代と年代別代表で長く積み上げてきた経験にある。森山は2000年からサンフレッチェ広島ユースのコーチを務め、2002年8月から2012年まで同カテゴリーの監督としてチームを率いた。
高円宮杯3連覇を含む主要ユース大会8冠を手にし、槙野智章、森脇良太、柏木陽介らを指導した広島ユースは、森山の下で国内有数の育成組織へと成長した。
2013年以降は日本サッカー協会の世代別代表で、U-15、U-16、U-17日本代表の監督・コーチを歴任。2023年にはU-17日本代表を率いてAFC U17アジアカップ タイ2023を制覇。決勝でU-17韓国代表を3-0で下し、大会初となる連覇を達成した。
同大会には佐藤龍之介や中島洋太朗、道脇豊、名和田我空など、現在の若手スターたちが多く名を連ねており、同氏はメンバーを入れ替えながら変化が激しいピッチコンディションに対応。グループステージのU-17ウズベキスタン代表戦を除き、5試合で3得点以上をあげる攻撃力を示した。
その実績を携え、森山は初のプロチーム指揮官としてベガルタ仙台へ向かった。就任は2023年11月27日に発表され、2024シーズンからチームを指揮している。
仙台は2023年のJ2リーグを16位で終えたが、森山体制1年目の2024年は6位、2025年も7位と、2季連続で昇格争いに加わった。2024年にはJ1昇格プレーオフへ進出し、準決勝でV・ファーレン長崎を4-1で勝利。決勝でファジアーノ岡山に0-2で敗れたが、4年ぶりの悲願達成まであと一歩のところまで迫った。

明治安田J2・J3百年構想リーグで総合1位に輝いたベガルタ仙台【写真:Getty Images】
【プロチームでも手腕を発揮】
仙台で再構築の軸となったのは、球際、走力、攻守のトランジション、そしてハードワークだった。森山監督は、2023年の後半戦で運動量、スプリント回数、強度が低下した反省を共有し、練習から強度を求めてきたと述べている。(参照:昇格プレーオフ・長崎戦のあとの記者会見)
2026年の明治安田 J2・J3百年構想リーグでは在籍32人中29人を公式戦で起用し、試合ごとにメンバーを入れ替えながら総合力を高めた。育成年代で培った「成長と競争を両立させる」マネジメントは、トップチームでも発揮されている。
戦術面では、2025年までの【4-4-2】を軸とする戦いに、2026年は3バックと【3-1-4-2】という選択肢を加えた。
ウイングバックやシャドーを含めた起用の幅を広げ、攻撃の経路を増やす一方で、守備ではコンパクトなブロックによる中央の管理を重視する。百年構想リーグは総合優勝という最高の結果で終えたものの、2026/27シーズンの明治安田J2リーグでは、第3節を終えた段階で1勝1分1敗と理想的なスタートを切れなかった。
だが、スコアレスドローに終わった第2節・大分トリニータ戦の戦いを振り返っても、チームが目指すプレーは貫けている。この試合で放ったシュート数は17本と、相手の5本を大きく上回った。ボールの奪いどころやショートカウンターにも再現性があり、フィニッシュの精度さえ上がれば成績改善にも期待が持てるはずだ。
実際、今季ここまでのJ2では「こぼれ球奪取数」において、仙台がカターレ富山に次ぐ2位に位置づけている。まさしく球際や攻守の切り替えの部分でチームが強さを示せていることの証左だろう。
復帰加入の中島元彦や新たにチームへ加わった浅倉廉らに結果が付いてくると、よりポジティブな循環が生まれるのではないか。
育成と競争を結び付けながら組織全体を押し上げる森山監督の下で、仙台はJ1復帰という次の目標へ進んでいる。