
早くJ1で見たい!J2で注目を集める監督たち【写真:Getty Images】
2026/27シーズンの明治安田J2リーグは開幕からまだ数節だが、J1昇格を懸けた長丁場の戦いがすでに進行中。指揮官の采配ひとつでチームの状況は大きく変わり、一挙手一投足が勝敗を分ける。本稿では、J2で戦うチームに著しい成果をもたらす指揮官を5名紹介する。[5/5ページ]
川井健太(かわい・けんた)

北海道コンサドーレ札幌を率いる川井健太監督【写真:Getty Images】
生年月日:1981年6月7日
所属クラブ:北海道コンサドーレ札幌
2026/27シーズンJ2リーグ成績:1勝3敗
【愛媛FCで見せたきらめき】
現役時代は地元の愛媛FCでプレーし、引退後は環太平洋短期大学部サッカー部監督、愛媛FCレディース監督、日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチなどを務めた川井健太。2018年には愛媛FC U-18監督からトップチーム監督へ昇格し、同年5月から2020年まで指揮を執った。
愛媛は2020年にJ2で21位に終わり、川井監督は同シーズン限りで退任した。目立った成績ではないが、リーグ第36節のアルビレックス新潟戦では3-0の勝利を収めるなど随所で輝きを示した。
同試合で見せた、大外から内側に1レーンずつ角度を付けて侵入する攻め方は効率的かつ再現性があった。特に左サイドのポケットを何度も強襲しており、前後半を通じて愛媛のチャンスを多く作っていた。
そしてモンテディオ山形のトップチームコーチを務めた後、川井は2021年12月に当時J1所属のサガン鳥栖の監督へ就任した。鳥栖で掲げたのは、保有戦力の質だけに依存しない、数的優位を生み出すためのフットボールだった。
2022年の鳥栖は、GK朴一圭をセンターバック(CB)と同じラインでビルドアップに加わらせ、ボール保持を基盤に自分たちから主導権を取りにいくスタイルを構築した。
就任1年目の2022年、鳥栖は3月13日に浦和レッズを1-0で破り、6月26日にはFC東京に5-0で快勝した。同年のリーグ戦は11位に終わったが、限られた戦力の中で展開した能動的なスタイルは各方面から評価された。
FC東京戦の2点目、ジエゴのゴールが好例で、先述の新潟戦で見せたような大外まで開いた最終ラインのパスが起点だった。ジエゴの得点はこぼれ球を押し込む形だったが、その過程はまさにビルドアップのお手本のような連係である。
選手を成長させる手腕も、川井監督の大きな特徴だ。2023年には河原創がJ1初挑戦でリーグ全試合フル出場を果たし、小野裕二は30代でキャリアハイとなる9得点を記録した。前年までJ3(当時)のFC今治に所属していた原田亘も、リーグの後半にかけてJ1でも定位置を掴んでいった。

北海道コンサドーレ札幌の選手たち【写真:Getty Images】
【「ゴール前でのクオリティ」は要改善】
川井監督のチームはミスを恐れない。快勝したFC東京戦もビルドアップでミスがあり、相手に決定機を作られている。だが、それらを経て積み上がるもののほうにプライオリティが置かれており、チームに再現性を持たせられるまであきらめない。その傾向は2026年から指揮を執る北海道コンサドーレ札幌でも明らかだ。
川井監督が就任後に目指したのは、昇格のない明治安田J2・J3百年構想リーグを、2026/27シーズンのJ1昇格に向けた「チームの育成」と「戦術の成熟」の期間と捉えることだった。(参照:北海道コンサドーレ札幌公式サイト)
百年構想リーグで札幌は開幕当初に苦しんだものの、チームは途中で大きく上向いた。2016年以来10年ぶりとなる6連勝を達成し、最終的には19年ぶりのリーグ戦7連勝を記録。EAST-Bグループを2位で終え、プレーオフラウンドを経た総合順位では40クラブ中8位となった。
試行錯誤をテーマに掲げた中で、19歳のティラパット・プルートンや現役大学生の梅津龍之介が多くの出番を得ており、チームの戦力化に成功している。とりわけ最終ラインで発揮される梅津のアイデアは、プロの舞台でも相手の脅威になっている。
そうして迎えた2026/27シーズン。開幕戦では、ヴィニ・ペイショットと白井陽斗の得点で徳島ヴォルティスに2-0で勝利し、ホームでの開幕戦勝利は5年ぶりとなった。
しかし、その後はアルビレックス新潟に1-2、RB大宮アルディージャに1-4で敗れ、開幕4試合は1勝3敗となった。大宮戦後、川井監督は「ゴール前でのクオリティ」を課題にあげ、次戦以降の改善を強調した。
実際、この試合では札幌にもチャンスが多くあった。90分でのシュート本数では15対13で札幌が上回っており、枠内シュートでも6対5と優位性は変わらない。ヴィニ・ペイショットがいる左サイドを中心に、何度も相手ゴールに迫った。
3失点目はGKの田川知樹の判断ミスと見ることもできそうだが、川井監督は「ミスは出たが、何かをしようとしたミスなので問題はないと思っている」と見解を示す。大宮戦に関しては梅津の機動力を指摘する声もあるかもしれないが、川井監督にとっては田川と同じことだろう。(参照:Jリーグ公式サイト)
札幌は理念を放棄するのではなく、攻守の細部と再現性を高めながら、昇格を争う力へと成熟させる段階にある。チームを見守るファン・サポーターにとっては今後もハラハラする展開がありそうだが、託せるだけの器とアイデアを同監督は持ち合わせているはずだ。
【著者プロフィール:編集部】
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