
ファジアーノ岡山の本山遥【写真:Getty Images】
ヴィッセル神戸からの期限付き移籍を1年間延長し、ファジアーノ岡山で今季を戦う本山遥。負傷離脱を経て、9月2日のジェフユナイテッド千葉戦から2戦連続で先発のチャンスを得ている。守備のユーティリティーとして評価されてきた一方で、自身は「守備の選手だと思われすぎている」と感じていた。本山が攻撃面にこだわり続ける背景には、今季に懸ける特別な思いがある。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第6節】
2026年9月6日 ファジアーノ 3-2 サンフレッチェ広島
(JFE晴れの国スタジアム)
「守備の選手だと思われすぎている」。本山遥が打ち明けた悩み

本山遥は、爆発的な走力と出足の速さに定評のある守備の万能型だが…【写真:Getty Images】
「自分が怪我をしている間に、(松本)昌也くんや(白井)康介くん、(山根)永遠くんがゴールを取っているところを見ていたし、ウイングバックがゴールを取った試合はほとんど勝っていた。やっぱり自分は『守備の選手だと思われすぎているな』とも感じているので、もっと攻撃でもできるところを見せなければいけないと思っています」
プロ1年目から木山監督のもとでプレーすると、アンカーや3バックの右左、3バックの両ウイングバック、4バックの右サイドバックなど複数のポジションを任され、守備を引き締めるための途中出場も多く、指揮官からの信頼は厚いように見えた。
しかし、本山は満足していなかった。
「やっぱり選手として『試合から外せないな』と思われるためには、そこ(攻撃)も絶対に高めなきゃいけないと思う。選手としての価値をもう一つ上げるためには、そこが足りないなと感じています」
守備専門のイメージを払拭したい。抱き続けてきた思いが、クロス練習への注力をはじめとする日々の行動を変えた。その結果、2試合連続アシストで2連勝への貢献という結果が出ている。
それでも、本山の辞書に慢心という言葉はない。
「自分の中でもっと攻守ともに精度を上げられるところが試合をやりながら見つかっている。それはすごく自分の中ではポジティブだなと。やっぱりスタートから出ないと見つからない課題もあると思う。そういう意味では自分の中でも手応えがありつつ、課題も見つかっていて、今はすごく充実した時間を過ごせているかなと思います」
木山監督は本山の葛藤や向上心を感じつつ、さらなる成長を期待している。
「それを払拭するには…」。本山遥が今季に懸ける理由

ヴィッセル神戸からの期限付き移籍を1年間延長し、ファジアーノ岡山で今季を戦う本山遥【写真:Getty Images】
「キャンプからポジション的に少しいろいろな要素があって、スタートから外れることが多かったですけど、ここに来て存在感を増してきた。彼が言うように、守備のポジションならどこでもできるユーティリティーさを僕は非常に買っているけど、本人はそれだけじゃなくて、ワイドの攻撃的な選手としてプレーしたいという意欲がある。
そうなると、やっぱりアシストとか得点とか、アシストにつながるプレーとかが増えることが条件だと思う。前節に続いてきょうもそれを結果で示してくれたことは、ものすごく大きな評価になる。慢心せずに続けていってほしいなと思います」
2026/27シーズンもファジレッドのユニフォームを着て戦っているのは、神戸から岡山への期限付き移籍の再延長を不退転の覚悟で決断したからだ。
「岡山でJ1昇格したけど、(神戸に)出ていって、半年で戻ってきた。神戸サポーターからは『半年しかいなかったやつだ』と思われているとは思いますし、岡山サポーターからも『昇格したけど出て行った選手だ』と思われてもしょうがないと思うので。
それを払拭するには、やっぱり岡山で試合に出て、岡山のサポーターの方たちに恩返しするしかないと思う。そして、岡山で活躍することが神戸の人たちへのメッセージにもなると思うので、本当に自分の中ですごく大事な1年だと思っています」
神戸での半年間で体感した高い基準に近づくために。クラブとして加速度的な成長を見せる岡山の力になるために。本山遥はプロになった地で、攻守コンプリートへの道を一歩ずつ進んでいる。
(取材・文:難波拓未)
【著者プロフィール:難波拓未】
2000年4月生まれ。岡山県出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生の夏からサッカーメディアの仕事を志す中、大学在学中の2022年からファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブの公式マッチデープログラムを担当し、現在は様々な媒体にも取材記事を寄稿している。メディア人として東京での2年間の育成型期限付きを経て、2026年から地元・岡山でフリーランスとして活動。モットーは、「魂を込めて、クラブや選手の魅力を伝える」こと。
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