鹿島アントラーズの徳田誉【写真:Getty Images】
開幕4連勝と好スタートを切った鹿島アントラーズは、9月に入り連敗。そして、迎えた9月11日のヴィッセル神戸戦で、19歳の徳田誉に突然、公式戦初先発のチャンスが巡ってきた。U-19日本代表では得点を量産する一方、鹿島では出場機会をつかめない日々も過ごしてきた。「すべては自分次第だ」と語る徳田が、いま見つめるものとは。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第7節】
2026年9月11日 ヴィッセル神戸 2-1 鹿島アントラーズ
(ノエビアスタジアム神戸)
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突然巡ってきた初先発のチャンス

ヴィッセル神戸戦で公式戦初先発となった徳田誉【写真:Getty Images】
2種登録されたユース時代を含めて、鹿島アントラーズの一員になって3年目。年代別の日本代表に名を連ねてきた19歳のホープ、徳田誉が待ち焦がれてきた公式戦初先発のチャンスは突然巡ってきた。
敵地・ノエビアスタジアムに乗り込み、ヴィッセル神戸と対峙する明治安田J1リーグ第7節を翌日に控えた10日の練習中に起こった予期せぬアクシデントを、鹿島を率いる鬼木達監督が明かす。
「ちょっとコンディション不良があって、(神戸戦に)連れてこられませんでした」
神戸戦を欠場した理由に言及したのは、開幕から前節まで全6試合に先発し(そのうち5試合でフル出場)、8ゴールをあげて得点ランキングのトップに立つレオ・セアラだった。昨シーズンのJ1リーグ、百年構想リーグでもともに得点王を獲得している。
文字通りフル回転してきたブラジル出身のストライカーに代えて誰を起用するのか。鬼木監督が指名したのは、今シーズンともに途中出場で2試合、合計で8分間しかプレーしていなかった徳田だった。
名古屋グランパスとの第2節以来、5試合ぶりの出場を待望の先発で果たした徳田が振り返る。
「前日にそういう(レオ・セアラが欠場する)形になったので、自分のなかでそこまで実感が湧かなかったというか、そんなに気負いすぎずにいつも通りプレーしよう、というところを意識して入りました」
平静を貫こうと自らに言い聞かせても、キックオフが近づくと胸の鼓動が高鳴ったと徳田は続けた。
「やはり相手も非常に強いチームですし、(敵地という)こういう環境のなかで初めてスターティングメンバーで出るところもすごく興奮しました。気持ちが入ったゲームになったのは間違いないと思います」
リザーブのまま勝利を見届けたアビスパ福岡との第3節を最後に徳田は鹿島を一時離脱。モードをJ1王者から、来年、ウズベキスタンとアゼルバイジャンで共催されるFIFA U-20ワールドカップ出場を目指すU-19日本代表へスイッチ。第一関門となるAFC U20アジアカップ予選へ臨んだ。
鹿島アントラーズで苦境を味わう徳田誉が見つめたもの

AFC U20アジアカップ予選では、5ゴールをマークし、U-19日本代表をけん引した徳田誉【写真:藤江直人】
グループGに入った日本は、カンボジアの首都、プノンペンのナショナル・スポーツ・コンプレックスでクウェート、カンボジア、イエメンに3連勝。総得点16、無失点の圧倒的な成績で来年2月から3月にかけて中国・深圳で開催されるAFC U20アジアカップ中国2027への進出を決めた。
9人もの選手が得点者に名を連ねたなかで、徳田は3試合すべてで先発出場。チームで断トツの数字となる5ゴールをマークし、さらに左腕にはキャプテンマークを巻いて日本をけん引した。
山口智監督のもとで、U-19代表が活動を積み重ねていた今年5月。J1百年構想リーグでもともに途中出場で2試合(プレーオフラウンドを除く)、プレータイムにいたっては計5分にとどまっていた徳田は努めて自らに矢印を向けている。
「自分の能力が足りないからだと思っています。素晴らしい選手が大勢いるなかで厳しい状況に置かれていますけど、これも大事な経験というか、自分で乗り越えていく必要があると自覚しているので」
目の前に迫る試合へ、鹿島でも代表でも常に全力を尽くしていく。苦境を脱出するきっかけをカンボジアの地で、自らのパフォーマンスを介してつかんだ徳田は9月7日に帰国し、モードを再び鹿島へと戻した。
しかし、徳田が日本を発つ前は好調だったはずの鹿島は、9月に入って急停止を余儀なくされていた。
2日の水戸ホーリーホックとの茨城ダービーで4-2の大敗を喫すると、ホームのメルカリスタジアムに浦和レッズを迎えた6日の第6節でも連敗。しかも今シーズンで初めて無得点に終わっていた。
鹿島からは離れながらも、敗れた2試合を視聴していた徳田はこんな思いを抱いてチームに合流した。
「水戸戦よりも浦和戦のほうが、自分が見ていた感覚では良かったと思っていました」
さらに、神戸戦を前に得点源のレオ・セアラが離脱。徳田を先発に指名した鬼木監督は、システムを従来の【4-4-2】から【4-2-3-1】へと変更。徳田を1トップに、2列目には左から鈴木優磨、清水エスパルス時代からボランチを主戦場としてきたマテウス・ブエノ、そして松村優太を配置する陣容で臨んだ。
「誰かが抜ける状況はこれからもあるはず…」。徳田誉は自身に矢印を向けた

身長186cm・体重83kgと恵まれた体格の鹿島アントラーズ、徳田誉【写真:Getty Images】
「浦和戦よりもきょうのほうが、チームとして戦う部分という点でどんどん良くなっているというか。もちろん、負けているのでいいとは言えませんけど、ちょっとずつ良くなっている部分は少なからずあります。
レオ(・セアラ)がいないとか、他にも誰かがいろいろと抜ける状況はこれからもあるはずですけど、そういうところも含めて長いシーズンを戦っていくチームというのを次の試合も見せなきゃいけない」
徳田がこう振り返った神戸戦で鹿島は2-1で競り負け、開幕4連勝から一転して3連敗を喫した。徳田もシュートを1本も放てないまま、65分にチャヴリッチとの交代を告げられてベンチへと下がった。
この時点で1点をリードされていた鹿島は、チャヴリッチが73分に同点ゴールを決める。しかし、前半から何度も苦しめられてきたDFジエゴのロングスローを起点に、77分に勝ち越しゴールを奪われた。
「当然ですけど、難しいゲームになるのはわかっていたなかで、1トップとして、ストライカーとして先発したので、もうちょっとゴールへの意識というものが必要だったという部分は感じています。
それでも、チームの狙っていたクロスの部分でチャンスになるシーンも前半に何回か作れていた。そこで自分を含めてチームとして決め切れていれば、もうちょっと自分たちのゲームになったのかなと思う」
自らを責める徳田は、それでも絶対に下を向かなかった。身長186cm・体重83kgの恵まれた身体に脈打つ常勝軍団のDNAが、鹿島が直面する苦境を拒絶させる。覚悟と決意を込めて徳田はこう続けた。