
今季は注目?J1で「内容が良い」チーム5選【写真:Getty Images】
今シーズンより、Jリーグは秋春制へ移行した。開幕7試合を終えたいま、順位表だけでは測れない”内容”を見せるクラブがある。堅守と多彩な攻撃を見せる強豪、最少失点を誇る堅守チーム、シュート数リーグ最多の名門、走力と規律のチャレンジャー、球際の激しさで強豪を沈めた新勢力――。奮闘する5クラブの“内容”に迫る。[4/5ページ]
水戸ホーリーホック

水戸ホーリーホックFW渡邉新太【写真:Getty Images】
監督:樹森大介
2026/27シーズン成績(第7節終了時点):2勝3分け2敗
勝ち点:9(11位)
【百年構想リーグから見えていた片鱗】
2026年にクラブ史上初のJ1参入を果たした水戸ホーリーホックは、第7節終了時点で2勝3分2敗の勝ち点「9」で11位。順位こそ中位に位置するが、樹森大介監督が掲げる哲学はこのカテゴリーで着実に機能し始めている。
今年前半に行われたJ1百年構想リーグでは、地域リーグラウンドEASTにおいて10チーム中9位で終えた。最下位は水戸と同じく今季からJ1に昇格したジェフユナイテッド千葉だったことから、この時点ではトップカテゴリーの壁を痛感する成績だった。
だが、百年構想リーグの段階でも要所では戦えていた。技術や経験で自分たちを上回るJ1の強豪たちを相手に走力で勝り、ボールを保持することによって相手にチャンスを作らせない意図は明確にあった。
Jリーグの公式記録によれば、1試合平均走行距離は119kmでJ1で3位タイ。1試合あたりの平均パス本数でも上位の数字を記録しており、“実践したいサッカー”の形は半年間で描けていた。
そして2026/27シーズン開幕後は、よりバランスのとれたチームに仕上がった。4-4-2でブロックを形成しながら、数的優位で相手の攻撃を防ぎ、引き続き走力で上回る。新シーズンの1試合平均走行距離は118kmで、百年構想リーグよりむしろ少なくなっているが、相対的に見れば柏レイソルと並ぶリーグトップの数字である。
ただし、ボール保持を諦める選択肢が増えた。百年構想リーグの平均ポゼッション率は51.6%で、2026/27シーズンのJ1リーグでは44.7%にとどまる。それに伴って1試合平均パス数も減少しており、今の水戸は“ボールを持たない”判断を下せるようになっている。
【下剋上を支える個人スキルと規律】
その代わり、局面での強度はより高くなった。それを体現するのが真瀬拓海である。同選手はJ1全選手中最多となる総スプリント回数「148」を記録しており、右サイドバックとして上下動を繰り返している。
今日までに行われたリーグ戦7試合すべてでフル出場を果たしており、驚異的な運動量と強度の高さを示している。さらにチャンスメイクも6回を記録しており、攻守において極めて重要な存在感を放っている。
そしてサンフレッチェ広島からレンタル移籍で加入中だった仙波大志は、新シーズン開幕を前に完全移籍に移行。引き続き、チームの中核として効果的なパスを散らし、チームトップのデュエル勝利数(14)を記録している。
経験豊富なスーパースターはいないが、選手それぞれが規律を守りながら各々のできることをまっとうしている。
象徴的だったのが、第5節の茨城ダービー・鹿島アントラーズ戦(4-2勝利)だ。開幕から無敗を続けていた2025シーズンの王者を相手に、渡邉新太が自身のキャリア最高となる1試合4ゴールを記録し、格上撃破を演出した。
渡邉はシーズンを通じてもシュート11本に対しゴール5、決定率45.5%を誇っており、少ないチャンスを確実に得点に変える能力はリーグでも際立っている。
その裏で、守備陣も存在感を放っている。GK西川幸之介は、公式記録が示す総セーブ数「29」でリーグ全体のトップに立つ。ボール保持を明け渡しても戦えている主要因のひとつに、背番号「34」の奮闘がある。
初のJ1で試行錯誤しながらも、無敗だった名門を打倒。データサイト『Transfermarkt』によると、水戸のクラブ市場価値は今季のJ1リーグにおいて下から2番目。チームのために走りまくって止めまくる選手たちの奮闘が、下剋上を支えている。