内容は良くなっている。それでも、勝利には届かない。ジェフユナイテッド千葉は21日、浦和レッズとの一戦に2-3で敗れた。9月にヴィッセル神戸から期限付き移籍で加入したDFンドカ・ボニフェイスは、移籍後初ゴールを決めながらも「非常に悔しいです」と唇をかんだ。一方で、直近の試合内容には確かな手応えを感じているという。「間違いなく内容は上がってきている」。勝敗を分けるのは、ほんのわずかな差。苦境の中でも前を向く背番号2が語った、チームの現在地と勝利への課題とは。(取材・文:石田達也)
【2026/27 明治安田J1リーグ第11節】
2026年10月21日 浦和レッズ3-2 ジェフユナイテッド千葉
(埼玉スタジアム2002)
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セットプレーで流れを掴んだジェフユナイテッド千葉だが…
「非常に悔しいです」
敗戦に沈む、埼玉スタジアム2002での通路。試合後のミックスゾーンに姿を見せたDFンドカ・ボニフェイスは、悔しさをかみ締めながらも顔を上げ、つぶやいた。
10月21日、敵地で明治安田J1リーグ第11節を戦ったジェフユナイテッド市原・千葉は、2-3で浦和レッズに敗れた。
強風が吹き、ボールが頭上を行き交う展開となる中で、19分に試合が動く。
MFマテウス・サヴィオのスルーパスをDF鈴木大輔がブロックしたが、こぼれ球を拾ったMF金子拓郎に先制点を奪われてしまった。
それでも千葉はセットプレーで流れを掴む。32分にコーナーキックを獲得するとMF安井拓也が右足で入れる。風の影響を計算しながら蹴ったボールはファーに流れていく。
それに対しンドカは大外の位置から一度、膨らみながらマークするDFダニーロ・ボザの視界から消えると“ここぞ”のタイミングからヘディングで合わせゴールネットを揺らす。
キッカーの質と視野から消える動きが重なりあった得点だった。
安井は「自分の感覚で蹴りました。良いボールさえ蹴れば、後は中の選手が合わせてくれると思ったので、風の影響もありましたが得点になって良かったと思います」と言う。
それに対しンドカは「どうしてもボールを見がちになりますが、しっかりと足を動かして、相手のマークを外してポイントに入ることができたと思います」と振り返る。
「千葉が自分を必要としてくれたことが一番」
加えて「拓也は練習でも試合でも、ずっと良いボールを蹴っています。千葉に加入してから試合の中でチャンスがあった中で決めきれなかった。ああいうボールが入ってくることは頭に叩きこんでいたので、まずは1点が自分の中にありましたし、0-1の状況だったので、そこでセットプレーで取れたことは試合の流れ的にも、個人としても、チームとしても大きかったです」と語った。
ンドカは右拳を大きく上げて喜びを爆発させると“ここに来い、みんな集まってくれ”と言わんばかりのジェスチャーでチームメイトを呼び寄せると歓喜の輪を作った。
この日は失点後も全員で円陣を組み、話し合う様子が見られたが、実はFW矢村健からの発案で「チーム内で話をして、失点した時や得点をした時は、みんなで集まろう」と決めていた。
千葉はWBの背後を狙う形で敵陣に侵入しチャンスを作ると、その後もンドカは周りとコミュニケーションを取りながらディフェンスを統率し、縦パスに対して寄せ切る部分、アタッカーを潰す場面をピッチで見せると、44分には縦パスを刺し、MF姫野誠のシュートにつなげた。
9月16日にヴィッセル神戸より期限付き移籍してきたばかりのンドカは、水戸ホーリーホックでプロキャリアをスタートさせると、その後は東京ヴェルディ、横浜FCでプレーし、後者ではJ1昇格に貢献した。
そして、今年1月に神戸へ移籍すると、明治安田J1百年構想リーグでは9試合に出場。今シーズンは出場時間が限られたこともあり、活躍の場を千葉に求めると、ここまでの公式戦5試合を経て千葉の最終ラインを支えている。
「千葉が自分を必要としてくれたことが一番で、神戸ではなかなか、出場機会を得られないことが多かったので、ここでの練習から自分のプレーを出して、試合に貢献する。その思いだけです」
「それは今日の試合に限らず」
千葉は1-1で迎えた後半頭の47分、ペナルティーエリア内の右サイドでフリーになった矢村のシュートが枠外に飛び、ビッグチャンスを逃すと、時間の経過とともにプレスバックが緩み、中盤の攻防やセカンドボールでのバトルで後手を踏んで浦和にゲームをコントロールされ、一気に流れは傾いた。
55分にセットプレーの二次攻撃から失点。さらに81分にもCKから得点を許してしまう。
試合終了間際の90+1分にFWエリソンのクロスにMF津久井匠海が頭で合わせ1点差と肉薄したが、そのまま試合終了を告げるホイッスルが鳴り、2-3で千葉が敗れた。
前節の横浜F・マリノス戦では締めるべきところを締めてのクリーンシートだったゆえに悔やまれる複数失点でもあった。
ンドカは「セットプレーもそうですが、本当に一つ一つのプレーや一つのシュート、一つのパス、一つのセーブ、そのちょっとしたところで自分たちは勝点を落としていると思う。それは今日の試合に限らず、千葉が今シーズン勝ち点を落としているところだと思います」と課題を挙げる。
そして、うつむくことなく前を向き「チームとして本当に、ここ3試合、間違いなく内容は上がってきているし、今日の試合もチャンスを作っている中で、最後のところ、一つのシュート、一つのプレーで勝敗がめちゃくちゃ分かれるような試合を自分たちはしていると思う」と積み重ねの手応えを口にする。
ンドカはポジティブに捉えるというよりは、結果をつかむことが足りなかったところに、フォーカスを当てる。この敗戦から、どう結果に結びつけていくのか。
苦しい時に何をするのか、逃げるのは簡単だが一つのプレーで勝利を持ってくるために立ち向かって行く。
“ちょっとしたところ”を追求し、チームに勝利を呼び込むために背番号2はさらなる高みを目指してハードワークを続ける。
(取材・文:石田達也)
【著者プロフィール:石田達也 フリーライター】
千葉県出身。浦和や千葉を中心にJリーグやアマチュアスポーツまで幅広く取材。サッカー専門誌、地域情報誌などにも多数寄稿。「職業サッカークラブ社長」(ベースボール・マガジン社)などの書籍編集を担当。「浦和ACL戦紀」(ELGOLAZO BOOKS)共著がある。
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