
サンフレッチェ広島の鈴木章斗【写真:Getty Images】
サンフレッチェ広島の「10番」が、驚異的なペースでゴールを量産している。水戸ホーリーホック戦ではアクロバティックな一撃を叩き込み、今季13試合目で早くも2桁得点に到達した鈴木章斗。かつては遠い憧れだった日本代表も、いまは一歩ずつ近づいている。湘南ベルマーレ時代の盟友や同世代の活躍に刺激を受けながら、23歳のストライカーは初招集を見据える。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第13節】
2026年10月31日 水戸ホーリーホック 0-3 サンフレッチェ広島
(水戸信用金庫スタジアム)
「一歩ずつ迫ってきている」鈴木が見据える日本代表への道

開幕から好調を維持するも、9月・10月シリーズでは代表に招集されなかった【写真:Getty Images】
大橋祐紀、田中聡と湘南から広島経由で海外へと羽ばたいた選手たちの背中を追いたい思いも込めて新天地として広島を選んだ。そして大橋も田中もプレーした日本代表へ抱く憧憬の思いも膨らんでいる。
先の9月・10月シリーズでは、同じ2003年生まれの松木玖生がデビュー戦で初ゴールをマーク。さらに佐野航大、湘南時代のチームメイトである鈴木淳之介と同世代の選手たちが躍動した。
特に淳之介は昨年6月の代表デビューから瞬く間に森保ジャパンに定着。ヨーロッパ移籍を含めて右肩上がりの成長曲線を描いてきた過程で、FIFAワールドカップ2026代表にも名を連ねた。
「すごく刺激になっています。以前は日本代表への道はすごく遠いと感じていましたけど、いまはそんなにというか、まだちょっと遠いですけどちょっとずつ、一歩ずつ迫ってきているのかなと感じています」
湘南時代の盟友の勇姿も新たな力に変えていた鈴木は、谷村海那と日本人最多の6ゴールで並んだ状況で9月・10月シリーズの代表メンバー発表を迎えた。しかし、選ばれたのは谷村だけだった。
「ゴールを奪うところだけで言えば、いろいろな選手が代表に選ばれる可能性があると思っているので、そのなかでプラスして自分に求められているのは何なのか。代表発表のときはそれをすごく感じました。
足りない部分があるからこそ、呼ばれなかった。そのように考えたなかで、得点能力に加えて前線でしっかりと体を張ってボールをキープするとか、時間を作れる選手が求められていると思いました」
あれから1カ月半あまり。代表入りへチャレンジする意識が強すぎるあまりに、チームの和やバランスを崩すのは「またちょっと違う」と自らに言い聞かせ、自然体を貫きながらも2桁ゴールに到達させた。
「得点王は狙いたい」

念願の代表召集に加え、得点王の目標を掲げる【写真:Getty Images】
J1得点ランキングを見れば、自分より上には12ゴールでトップに立つレオ・セアラしかいない。代表に「もちろん選ばれたい」と本音をのぞかせながらも、鈴木はこんな言葉をつけ加えるのも忘れなかった。
「(代表に)選ばれなければまだ何か足りないものがあると思うはずだし、選ばれてもまたいろいろな経験というか、周りの選手たちに刺激を多く受けるはずなので、そこまで意識しないようにはしています」
だからこそ広島の「10番」として勝たせる仕事に専念する。森保一監督のもとで広島が初優勝した2012シーズンを振り返れば、佐藤は最終的に22ゴールをマーク。得点王とMVPを獲得している。
「得点王は狙いたい。目の前の試合で自分らしさを出せれば、自ずとそこに近づいてくると思います」
来年6月まで続くシーズンの個人的な目標に得点王を加えた鈴木は、今年1月の新体制発表会見の席で、秋春制のもとで行われる2026/27シーズンの目標を「20ゴール」に定めていた。
ケガとは無縁のタフネスさもあって、ここまで全13試合に先発。早くも目標の半分のゴール数に到達させた万能型ストライカーは、これからも飄々とした自然体を貫いていく。その過程でまだ23歳の鈴木と日本代表との関係も、憧れから初招集、さらに初ゴールから定着へとステータスをどんどんあげていくはずだ。
(取材・文:藤江直人)
【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
【順位表】明治安田J1リーグ2026/27
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【了】
