
ジェフ千葉でプレーする前貴之【写真:Getty Images】
フクダ電子アリーナでアビスパ福岡を3-0で下し、リーグ戦7試合ぶりの勝利をあげたジェフユナイテッド千葉。DF前貴之はポストに激突しながらJ1初ゴールを奪い、小林慶行監督は試合後、サポーターへの思いから涙を見せた。終盤の失点などで勝ち点を逃してきた千葉は、なぜこの日は勝ち切ることができたのか。前や指揮官の言葉から、その背景を探る。(取材・文:石田達也)[2/2ページ]
前節の悪夢を振り払った90+5分の3点目

左から呉屋大翔、前貴之、姫野誠【写真:Getty Images】
時計の針が刻まれ、終盤にかけては一進一退の攻防戦となる。
前節のセレッソ大阪戦では2-0の展開から試合終了間際の土壇場で2失点を喫し、白星を逃した。その苦い経験があるからこそ、試合終了のホイッスルが鳴るまでが勝負と、気持ちを切らさずに強度のギアを高めた。
すると90+5分、途中出場のFWホシャが左サイドからクロスを供給。相手にクリアされたボールからMF津久井匠海がシュートを放つと、その後のボールをFW石川大地がつなぎ、FW呉屋大翔が頭で押し込んだ。前節の悪夢を振り払う、ダメ押しの3点目だった。
3試合連続複数得点、そして無失点での勝利が決まるとキャプテンのDF鈴木大輔が前とDFンドカ・ボニフェイス、DF日高大、そしてGKホセ・スアレスに声をかけると5人は抱き合って、お互いの健闘を称えながら喜びを分かち合った。
「試合前、試合中でも『ゼロで行くぞ』と、みんなで言い合っていたので、それが達成できたことが良かったというところです」
鈴木は無失点で終えられたことへの手応えを口にした。
ここまで五分五分の試合をモノにできない試合も多く、“勝てる試合で勝ち切れないもどかしさ”が続いていた千葉。それでも、選手たちは厳しい現実から目を背けず、下を向くことなく敵陣への矢印を揃えた。
前は「追加点を取ると違いますし、もし前節のような同じ展開になった中でも3点目を取れたところと、ゼロで抑えたことはポジティブに捉えたいと思います」と、手応えを口にした。
そして、一拍置いてから力を込めて言った。
「良い内容をしている中で、勝てていなかった試合が続いていたので、ここで1つ勝ったっていうところで、さらに自信を付けて、次に向けて頑張りたいと思います」
千葉は降格圏脱出とまではいかなかったものの18位に順位を上げた。負けられない戦いは続き、11月8日の次節は1ポイント差で19位に位置する水戸ホーリーホックとの対戦が待っている。
「前節を含めて、アディショナルタイムでやられている試合が多かったので、その中でも最後にも決めて押し切って、みんな(サポーター)と喜び合えたことは嬉しかったです。次も本当に大事な試合なので、みんなと喜び合いたいと思います」
黄色に染まるスタジアムで勝利の歓びを分かち合うため、背番号15は覚悟と勇気を示し戦っていく。
(取材・文:石田達也)
【著者プロフィール:石田達也 フリーライター】
千葉県出身。浦和や千葉を中心にJリーグやアマチュアスポーツまで幅広く取材。サッカー専門誌、地域情報誌などにも多数寄稿。「職業サッカークラブ社長」(ベースボール・マガジン社)などの書籍編集を担当。「浦和ACL戦紀」(ELGOLAZO BOOKS)共著がある。
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