3失点、「話にならない」
ジョゼ・モウリーニョはメディアの利用法に長けた監督だ。自ら「会見は試合の一部」と認めているように、試合前後の計算された言動で、対戦相手を精神的に揺さぶり、自軍選手の心理にプラス効果をもたらす。
だが、4月2日のCL準々決勝第1レグ、チェルシーがPSGに敗れた(1-3)直後は、自軍への苛立ちを抑え切れなかった。
モウリーニョは、「本物のストライカーがいない」と攻撃面を嘆き、3失点の守備を「話にならない」と切り捨てた。それほど、CL4強入りへのプランを一度ならず三度も台無しにしたチームへの怒りは大きかった。
一度目は前半4分での先制点献上だ。敵地での初戦は、敗戦回避を意識したカウンター狙いが基本方針だったはず。フランスのリーグ1で首位を独走するPSGは、国内外で9連勝中だった。
ホームで先勝を狙う敵の前線は、ズラタン・イブラヒモビッチの両脇に、エディンソン・カバーニとエセキエル・ラベッシという堂々の3トップだ。対する自軍は、プレミアリーグでは20チーム中最少失点で3月末の32節までを終えていた。
果敢にボールを奪ってカウンターに転じる戦法は、2月のマンチェスター・シティ戦(1-0)でも、国内最強の攻撃集団とのアウェイゲームで功を奏した。
パリのピッチでは、ウィンガーのアンドレ・シュールレが1トップを任された。奇策のようだが、シュールレの後ろにエデン・アザール、オスカル、ウィリアンという、ハードワーク可能なスプリンター4名を活用して堅守速攻を狙う策には一理ある。
故障中のサムエル・エトオに代わるCFと思われたフェルナンド・トーレスが、直前のクリスタルパレス戦(0-1)で精彩を欠いたとなれば尚更だ。