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軽率な守備陣、期待外れのトーレス。苛立つモウリーニョ、CL逆転勝利への希望はあるか?

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

CF“不在”。チェルシーに希望はあるか?

軽率な守備陣、期待外れのトーレス。苛立つモウリーニョ、CL逆転勝利への希望はあるか?
モウリーニョは会場を去る前に「まだ勝負はついていない。PSGも同感だろう」と一言【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 モウリーニョは終盤の戦況に嫌な予感がしていたに違いない。トーレスが指揮官に愛想を尽かされたと思われるのは80分過ぎ。しばし守勢だったチェルシーはカウンターに転じたが、トーレスのドリブル失敗であっさり攻守が入れ替わった。

 再び攻勢のPSGはハビエル・パストーレを投入。敵が土壇場で「個人技」を加えても自軍は守備の警笛が鳴らず、ボックス内で2名がかわされ、ペトル・チェフが自身のニア側を射抜かれた。

 チェルシーには、CL優勝を果たした2年前の16強ナポリ戦で、初戦に1-3で敗れたが第2レグを4-1で勝ち上がった経験がある。カバーニとラベッシのいるナポリが相手だった。だが、当時の自軍にはディディエ・ドログバがいた。

 開始早々にチャンスを生んだポストプレー、先制のヘディング、1点を返した敵をすぐに脅かしたシュート、延長戦でのアシスト。絶対的なCFがチームとホームの観衆を鼓舞し続けた。

 頼れるCFの不在は、10年前の一度目の就任時にドログバをチェルシーに呼び寄せた、今季の新監督が誰よりも痛感している。そのモウリーニョの発言は、「2点を追う立場なのだから、プランも何も出来ることをやるしかない」と、半ば投げ槍にも聞こえた。

 第2レグ前には、少なくとも監督がトーレスより買っているエトオが復帰しているだろう。ただし、大一番を生き甲斐とする指揮官が真骨頂を発揮することなくして、チェルシーが逆境を覆すことは不可能。

 パリの会見場を去る前に「まだ勝負はついていない。PSGも同感だろう」と、3得点ほど出来は良くなかった敵に釘を刺した、モウリーニョらしい唯一の一言が希望の源だ。

【了】

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