日本代表にとってはW杯史上最多得点での勝利となった【写真:Getty Images】
サッカー日本代表は日本時間6月21日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループステージF組第2節でチュニジア代表と対戦し、4-0で勝利し、決勝トーナメント進出に前進した。この一戦について、試合後、元サッカー日本代表で2010年の南アフリカW杯のメンバーだった岩政大樹氏に話を聞いた。(取材・文:竹中愛美)
【単独インタビュー/取材日:6月21日】
「日本サッカー全体の勝利かなと…」
チュニジア代表に4-0で快勝したサッカー日本代表【写真:田中伸弥】
ーーまず試合を率直に振り返って、この4-0という結果についてどのような印象をお持ちでしょうか?
「順風満帆じゃないですか。それは結果もそうですし、スコアもそうですし、内容もそうです。あとは、いろんな選手をワールドカップ(W杯)の公式戦に出すことができたという意味で、今後にも起用しやすくなったと思いますし、いろんな意味で順風満帆じゃないですかね」
ーー今おっしゃられたように、この2試合(オランダ代表戦とチュニジア代表戦)で22人も起用できたところは非常に大きいかなと思います。そのうちW杯デビュー組も11人を起用。本当に柔軟な戦い方ができたと思いますが、いかがですか?
「これまでの日本では考えられなかった戦い方ですし、トーナメントを睨んだ、先を見据えた戦いが予選でできるのは、これまで考えられなかったですからね。そういう面では、強豪国の仲間入りをしたような戦い方、戦いぶりじゃないですかね」
ーー日本代表としてはW杯史上最多の4ゴールを挙げての勝利でした。こちらも大きいのではないでしょうか?
「大きいですが、真の意味での強豪国の仲間入りをしようとすると、結局トーナメントで勝ち上がらなきゃいけない。それも強豪国相手に勝ち上がらなきゃいけない。そこを考えられるフェーズに入ってきたなというのはもちろんあります。
ですが、仲間入りしただけで本当の意味での強豪国になったかというと、これから試される。そこまでいっている国は、いくつか強豪国以外にもあるので。そこからさらに、1歩段階を進めるところに日本が来たら、というところですかね」
ーーチュニジア戦はスタメンを4人変更しました。久保建英選手が怪我で不在の中、選手層の厚さも感じられましたが、森保一監督の采配やマネジメントという部分に関してはいかがですか?
「ほぼパーフェクトじゃないですかね。それに、森保監督が常々おっしゃってるように、これは日本サッカー全体の勝利かなと思います。 それだけの人材を輩出してきているのが日本のサッカーです。逆に、久保選手が出られない状況は、森保監督はマネジメントをしやすかったんじゃないかなと思います。
アクシデントの中で鎌田(大地)選手を1つ上げるという選択をしやすかったと思いますし、その分、田中碧をフルで使うことができたのも大きいです。それは久保選手がいたらどうだったかというと、結構悩まれたんじゃないかなと思いますけど、いなくなったことで伊東純也選手もスタートで使える。逆に、アクシデントになるといろんなマネジメントが意外としやすくなることがたくさんあるので。
森保監督としては、それをやりやすくなった。でも、逆に言うとそれをやりやすくなったと言えるのは、それだけの選手層を日本が抱えているということなので、それ自体が日本サッカー全体の勝利という感じなんですけどね、たぶん、僕の考えでは」
「強豪国の仲間入りを果たしているようなチームなので…」

2022年カタールW杯では、グループステージ第2戦でコスタリカ代表に敗れた日本代表【写真:Getty Images】
ーーそして、日本はこれまでW杯過去7大会、グループステージ第2戦で1勝3分3敗となかなか勝てていないというデータもありました。勝利は2002年の日韓W杯まで遡り、いわば“鬼門”とも言われてきましたが、このデータをどう捉えますか?
「もう前提条件が違うので、W杯に最初に出始めた頃の日本と今の日本は全然違う。何をもって、どこを切り取って話すか。
例えば、日本ぐらいの力を備えたチームのデータで2戦目が悪いと言うんだったら、今回2戦目で勝ったのはすげーって、これまでと違うってなるかもしれないですけど、W杯出始めの日本と今を比べても、逆にその前提条件自体が意味をなさないような気が僕はします。
いろんなことを結びつけて話をしようとしますけど、何をもって前提条件とするか、いろいろ捉え方があると思う。強豪国の仲間入りを果たしているようなチームなので、もう今の前提の中で話さないと、それをことさらに扱って、今の日本がすごいと言ったところで、強豪国になろうとしている段階の日本として捉えた方がいいのかなと思います」
「何の不安点も僕は…」

サッカー日本代表の冨安健洋【写真:田中伸弥】
ーーそういう中で、ピッチコンディションや、天候、夜10時のキックオフ、チュニジア代表の監督交代など、試合前は少し懸念点もありましたが、勝敗を分けたポイントはどのようなところにあったのでしょうか?
「力の差が全然あるということですね。単純に力の差があるので、別に、何の不安点も僕はなかったですけどね。普通に勝つと、スコアがどうなるかだけの話であって、チュニジアぐらいのチームに対して、負けることを懸念するような状態では全然今の日本はないと思うんです。
そこは勝因というか、そういうチームを作り上げている今の森保監督も含め、日本代表というチームが持っているポテンシャルが、あまりにもレベル差があるので。勝因と言えばそれしかないです」
ーーなるほど。前回、オランダ戦後にお話を伺ったとき、途中出場された冨安健洋選手への期待をお話されたと思いますが、チュニジア戦でもハンニバル・メイブリ選手を徹底マークするなど、非常に強度の高い守備でした。冨安選手のプレーはいかがでしたか?
「日本のディフェンス陣の中で、なんだかんだでポテンシャルが1つ抜けているんだなというのはこの2試合で示していると思います。ただ、途中で変えたということはコンディションにいろんな不安感があるんでしょうけども、そこで変えたのが逆に森保監督からすると、次節以降のためなのかな。なので、スタートは決まった。これが定着していくんじゃないかなという印象を持ちましたかね」
ー先発した板倉滉選手、伊藤洋輝選手、冨安選手のゲーム運びも素晴らしかったです。チュニジアのゴール期待値が0.05で、相手のシュートを2本、枠内0本に抑えたという意味でも守備での貢献度の高さ、3バックの完成度についてはどのように見ていらっしゃいましたか?
「3バックというよりも、日本全体の共通認識の中で、まずスコアを大きく広げるようなオープンな展開を望むんじゃなくて、しっかりと相手ボールになったときには、プレスをかける。プレスがかからないのであれば、ブロックを組んで、スペースを消すというやり方を、全体が認識して共通認識を持ってやったということが、チュニジアからするとやりづらかったということだと思います」
ーーでは、良かった面が多くある一方で、課題を強いて挙げるとすればどんなところになりますか?
「挙げるとすれば力の差があったことですね。力の差があった相手に勝っただけなので、力の差が拮抗した相手に勝ち切るという状況を作らないと、自分たちの目標は達成できないという中では、競った状況を勝ち切るという経験をしたわけではないので。そこぐらいじゃないですか、挙げるとすると(笑)」
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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