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内田篤人のクロスはなぜ得点を演出できるのか?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

ファルファンとの絶妙コンビで生まれたアシスト


復帰戦で見事なアシストを決めた内田【写真:原田亮太】

 内田は間を持たせず前方のファルファンへ。ここからファルファンを外側から追い越しにいく流れで、相手のグロスクロイツが外に開くと、ファルファンはインサイドのスペースに出て来たヘーガーにパス。そこから中に流れ、相手の左サイドバックであるシュメルツァーを引き付けながらリターンを受け、素早い反転からの縦パスで内田を加速させた。

 内田が斜め前に走る動きに合わせ、中央でフンテラールを見る相手のDFラインは下がって対応したが、その手前でドラクスラーがフリーに。内田がダイレクトで低弾道のクロスを放つと、ドラクスラーが右足インサイドでゴールの左隅に突き刺した。

 DFラインを引き付けるフンテラール、フリーのドラクスラーを見逃さず正確なクロスを通した内田、その内田が走りながらも、中の状況を確認してクロスを出せる状況をお膳立てしたファルファンのパスが結び付いたゴールだ。

 内田がクロスを出そうとした時、フンメルス、スボティッチ、ピシュチェクという3人のDFがフンテラールと内田にラインを合わせる形になり、手前のスペースにドラクスラーが入りこんだわけだが、もう1人ゴール前の守備に参加していたブラシュチコフスキがドラクスラーを放置してしまったのだ。

 それは左サイドの高い位置にバストスが上がっていたため。危険な選手の1人として認識されるアタッカーのポジショニングも相手の守備をズラすためのエッセンスとなった。

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