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Jリーグ 10年前

セレッソ大阪通訳“ガンジーさん”が語るフォルランの素顔。卓越した言語力と日本文化への思い

text by 桑村健太 photo by Maiko Tsujimura , Asuka Kudo / Football Channel

フォルランはわからない日本語をスマホにメモしている

――現在フォルラン選手は日本語がどのくらいできるのでしょうか? フォルラン選手が日本人選手にも気さくに話しかけるのを何度か見ました。

「単語はかなり覚えています。ただ、まだきちんとした文章を作るレベルではないようです」

――サッカーに関係する単語もバッチリなのですね。

「僕たち通訳は毎年、ブラジル人選手用に『必ず覚えてほしい30単語』というものを作成していました。右、左、前、後ろ、上げろ、クリア、スルーといったものですね。それもすぐ覚えてくれて、彼はサッカー以外の普通の生活で使う言葉もたくさん覚えています。

僕も彼と話す時は出来るだけ日本語を混ぜるようにしていて、わからない単語が出てくると、(フォルランは)その言葉をスマートフォンにメモしています。家に帰って復習するんでしょうね。そういった努力を常にしています」

――ガンジーさんの専門はポルトガル語ですが、フォルラン選手の出身国であるウルグアイで話されるのはスペイン語ですよね?

「ポルトガル語とスペイン語は似ている部分が多く、大きくは違わないんです。ただおもしろいことに、日常でよく使う言葉ほど違っていたりします」

――お二人の会話はポルトガル語ですか?

「そうです。ただ、試合のハーフタイムなど熱くなる時は全部スペイン語になっています(笑)」

――ガンジーさんはスペイン語を話せるのですか?

「スペイン語も理解できないと仕事にならないので、勉強しています。今ディエゴは僕に気を遣って全てポルトガル語で話してくれていますが、僕が一日でも早くスペイン語をマスターし、ディエゴがスペイン語で話せるようにしてあげたいですね」

――それでも意思疎通は十分にできる、と。

「できますね。逆に僕が申し訳なく思うというか、感謝しています。僕のスペイン語はまだ完璧ではないですが、それに対して文句を言われたことは一度もありませんし、こちらの不慣れなスペイン語にも『それだったらポルトガル語でいいよ』とも言いません。僕がいくらポルトガル語とスペイン語をミックスして話しても聞いてくれるので、器の大きな人ですね」

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