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Jリーグ 10年前

完勝の浦和が首位をキープ。リスクマネジメントをしながらゴールへの渇望は失わない

text by 青木務 photo by Getty Images

バランスは保ちながら、最後まで得点を狙う

 最後まで、浦和は得点を狙い続けた。その上で相手に2点目を許さないためのリスクマネジメントも怠らなかった。

 攻撃面では相手を食いつかせるパスを後ろで回し、スピードアップするタイミングを探った。柏が勢いよく奪いに来る場面が少なかったこともあり、守備においては悪い奪われ方をしないように心がけた。那須が説明する。

「縦に付けたところを奪ってカウンターというのを相手も狙っていて、変な形で奪われるのは嫌だった。後ろで回しながら空いたところを突いていこうとみんなで話していた」

 最終的に柏は9人になったが、浦和は全く油断していなかった。

「相手が退場した後に余裕な気持ちを持っていたら絶対にやられてしまう。1点取られたら劣勢になってしまうので、気持ちの引き締めとリスクマネジメントはしっかりしました」

 後半は相手のシュートを1本に抑え、勝利を飾った。それでも気になることもあった。後半途中、最終ラインやボランチからサイドに付けるパスがズレる場面がいくつかあった。これについての那須の見解はこうだ。

「選手個人が感じているところなので、個人で直せばいい。むしろ、ミスをした後の切り替えが大事だと思っています。その切り替えを各々がしっかりやってくれていました。

 点を取りに行くという姿勢はずっとありましたし、(ミスになったパスも)狙ってのことなので。かと言ってリスクを冒し過ぎることはしなかった。しっかりバランスをとりながらできたと思います」

 相手が奪いに来ない以上、極端に言えばGKとCBで回していれば時計の針を進めることができた。たが、あくまでも追加点を奪うために相手を食いつかせるパスにチャレンジした。

 昨シーズンに比べて失点は大幅に減少したが、リーグ戦ここ4試合で15得点と攻撃力は損なわれていない。人数をかけて攻める時と、後ろでじっくり攻め手を伺う時の選択がチームの中で統一されているからこそ、バランスも崩れない。

 安定感と爆発力を兼備する浦和が首位に相応しい戦いを見せた。優勝候補の筆頭であることは間違いない。

【了】

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