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Jリーグ 10年前

鹿島の大物ルーキー・赤﨑秀平。期待とは裏腹に不本意なシーズンも、得点感覚の片鱗は発揮。未来のエースストライカーの現在地

text by 青木務 photo by Getty Images

限られた出番でどれだけ結果を残せるか

 ガンバ戦で土居が決めたチーム2点目は、鋭いカウンターから生まれたものだった。繋ぎからフィニッシュまで赤崎が絡むことはなかったが、ファーサイドからボールを呼び込んでいた。そして土居のシュートがGKを抜け、ゴールへ一直線という段階でも赤崎は足を止めず、最後はスライディングで自らも枠の中に突っ込んでいた。いかに貪欲にゴールを狙っていたかがわかるシーンだった。得点者はもちろん土居だが、あの場面でもスピードを緩めなかった赤﨑の姿勢も見逃せない。

 結果的にチームは敗れ、自身も73分に途中交代でベンチへ退いた。センターフォワードタイプは赤﨑だけだったが、最後までピッチに残ることはできなった。

「出ていた選手全員がチームを勝たせたかったと思うので、結果がついてこなかったのは残念です」と、淡々と振り返ってはいたが、悔しさはあったはずだ。

「自分が勝たせる」と意気込み、その通り1得点を記録した。今節の柏レイソル戦ではダヴィが出場停止から戻ってくる。スタメンは恐らくこのブラジル人ストライカーだろう。

 ダヴィの良さはその迫力だ。弾丸のような突進でゴールを狙い続ける様は、相手にとっては脅威。そして、たとえアバウトなボールでも半ば強引に自分のものにしてしまう力強さもある。シュート数の割にゴール数はそこまで伸びていないが、積極性はストライカーのそれだ。

 そうした強引さは、赤﨑にはない。だが、味方との息の合った連携から相手守備陣を崩すことができる。周囲が赤崎に合わせ、赤崎もパスの出し手とのタイミングを一致させる必要があるが、そうしたプレーも問題ない。

 とはいえ、今のままではダヴィからポジションを奪うのは難しい。自分の形から理想のゴールを挙げたが、その数字をもっと伸ばしていく必要があるのは明白だ。

 出場機会は限られるが、赤﨑はこれからも貪欲にゴールを狙い続ける。起用された試合で得点を重ねていくことこそ、自らの価値を高める唯一の方法だからだ。

【了】

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