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長友佑都 9年前

「新しい長友を見せたい」。新体制初戦のダービーで機能。マンチーニとの出会いがさらなる成長もたらすか

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

パラシオ、グアリンとコンパクトな位置関係を形成

 マンチーニ監督はマッツァーリ前監督の3バックを放棄し、4バックに修正。長友は右サイドとはいえ“本職”のSBに戻ったわけだが、彼は昨シーズンに攻撃的なWBへと特化した成長を遂げている。

 それに加え、カリアリ戦の退場劇など今季はピリッとしなかった彼が、果たしてSBとして攻守のバランスを取れるのか。そしてそれを、数々の名選手を見てきたマンチーニがどう査定するのか。言うなれば、戦前の不安要素でもあった。

 もっとも、それは杞憂だった。サイドバックとしてまず後方を意識し、左のドドと一度に上がることは控えながらも、高い位置からの攻撃参加がほぼ90分間を通して出来ていた。

 ポイントは、周囲との連動にあった。マンチーニ監督は4-3-3のシステムを採用し、パラシオを右ウイングに置いて長友の前方で守備をさせる。

 さらに右インサイドMFのグアリンも絡み、コンパクトな位置関係を形成。守備では数的不利をさらさず、コンパクトなので攻撃への切り替えも素早く、その結果長友は高い位置を取って攻められるようになっていた。

「(補強の出来る)1月までは、パラシオと(左ウイングを務めた)コバチッチには無理を頼むことになる」とマンチーニ監督は試合後の会見で語っていたが、しばらくはこのシステムが組まれることになりそう。その戦術的な歯車の一つとして、正確に機能することを示したことはいいアピールになったはずだ。

 もっとも長友は気を引き締める。

「マンチーニ監督の要求はまだまだ高いところにあると思う。このくらいのプレイじゃもちろん満足はしてくれないし、僕も満足はしていない」

 実際この日、DFラインはオビのボールロストをきっかけに乱れ、エル・シャラウィをサイドでフリーにしゴールを許した。「中途半端だった」と長友も反省していたが、安定した処理を他のDF陣とともにできるかどうかが、さらなる信頼を勝ち取る鍵となるだろう。

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