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本田圭佑 9年前

パレルモ戦は負傷欠場の本田。インザーギ監督が改めて語った10番の“役割”とは?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ファン、監督が下す本田への評価とは

 さてその際、インザーギ監督は本田について「イタリアでは過小評価されている」とも言っていた。メディアから酷評され、スタンドから執拗なブーイングも浴びた前節のカリアリ戦での境遇を指して言ったであろうことは、想像に難くない。チームの連係がままならない中、本田が守備やつなぎなどのハードワークに徹していた試合も少なくなかったわけで、その点を改めてインザーギは評価し、本田を擁護しようとしていたわけだ。

 もっとも、そういうパフォーマンスだけでは納得いかなかったからこそ、ファンはブーイングを浴びせたのだろう。前回は「ブーイングは愚か」と語った記者のコメントをメインに紹介したが、あの日に居合わせたファン数人に改めてブーイングの意図を聞いた。「あいつはいちいち遅い」「全部チャンスが潰れる。スピードが上げられないし、だいいち前にパスを通せているのか?」それぞれ理由をつけて、本田への不満をストレートにぶつけていた。

「展開のスピードが上がらないのは本田の責任じゃないよ。ビルドアップが遅いから2、3人に囲まれるのであって、バックパスしか選択肢がなくなるのも当たり前。あれじゃあクリスティアーノ・ロナウドだって無理だ」

 セリエDの監督経験があるという古参のファンの一人は、そうチームの連係不在で本田が割を食ったという趣旨のことを話していた。もっともその彼も、CKやFKの精度には不満を露わにしていた。

「プレースキックは丁寧に蹴ってほしい。スポットにきちんと足を当てればボールは飛ぶことは分かってるはずじゃないのか」

 本田のハードワークと、戦術的なインテリジェンスを評価するインザーギ監督の言葉に嘘はないだろう。ただやはり、10番としてそれ以上の仕事を要求される立場にいる。シーズンは終盤に差し掛かってしまったが、故障をしっかり直した後にはその点でもすっきりとした“回答”を示してほしいものである。

【了】

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