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本田圭佑 9年前

わずか6分のプレー。本田の投入はなぜ遅かったのか? ミラン新システムと指揮官の意図

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

トップ下廃止も本田はポジション争いの可能性?

わずか6分のプレー。本田の投入はなぜ遅かったのか? ミラン新システムと指揮官の意図
ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督【写真:Getty Images】

 そもそもこれが、ミハイロビッチ監督本来のスタイルである。守備ではピッチの幅をバランス良く取り、中央でもサイドでも守備における数的不利を生じにくくする。サンプドリアではこうした堅い守備組織をベースに、エデルをはじめとした高速FWでカウンターを繰り出し、相手を攻略していた。

 終盤、アレッシオ・チェルチに代わって右のウイングで出場した本田は、とりあえず今後はこの位置でポジションを争うことになるだろう。だが、それは簡単なことなのだろうか。

 フィリッポ・インザーギ前監督時代にも同じシステムは使っていたが、ウイングに課す役割が若干異なり、よりサイドでの“単騎特攻”を求めている。チェルチをスタメンとして起用した理由についてミハイロビッチ監督は「右サイドで相手を抜く能力があるからだ」と説明した。またボナベントゥーラも、トリノ戦では左サイドからの突破が目立った。

 チェルチに突破をさせるためか、トリノ戦ではイニャツィオ・アバーテも攻め上がりを自重していた。右をホームポジションに中に絞ってプレーする本田は、バランスを壊す要因になると思わせないようにしたい。

 その上で、ゴール前にも鋭さを出したい。「ゴール前で強引さがなかったのも今日は残念だった。みんなまずパスの可能性を真っ先に探していたが、もう少しシュートを打つことを考えて欲しい」と指揮官は語っていた。

 そのチェルチだが、シュートの意識や右サイドの突破そのものがダメだった。戦術としてトップ下はシステムの中から撤去されたが、本田にとっては逆説的にポジション争いに挑戦する余地が開けたとも言える。交代出場からでも、なんとか攻撃のインパクトという爪痕を残したいところだが…。

【了】

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