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【現地レポート】首位レスター、ラニエリ監督の“何も変えない”という改革。岡崎の懐疑心はやがて自信へ

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

ラニエリ監督の“何も変えない”という改革

岡崎
岡崎慎司の懐疑心はやがて自信へと変わった【写真:Getty Images】

 このとおり、前半戦のレスターはしっかりとした形がないまま勝ち続けた。だが前政権時代を知る守護神のキャスパー・シュマイケルは、ラニエリ監督が既成のチームを大きく変えようとしたなかったことが成功の要因だと分析する。

「監督は、昨季終盤10試合で6、7勝した機能しているチームを受け継いだ。好調を維持していたし勢いがあった。もちろんいくつか新しいアイデアはあった。でもこれこそ今季のチームの進化で最重要であり、監督が褒め称えられるべき最大の点だと思うけど、監督はすべてを変えようとしなかった。壊れていないものを直そうとしないで、選手たちにそのままプレーを続けさせたんだ」

 この言葉どおり、新監督はチーム内の変更点を最小限にとどめた。新しい監督がクラブにやってくると前政権のコーチングスタッフを総入れ替えするのがモダンサッカーでは当たり前のこと。だが指揮官はここにも手を加えなかったのである。

「昨季のコーチ陣をそのまま残したけど、これは選手にとってはとても大きなことだった。多くの監督は自分のコーチングスタッフを引き連れて、総取替えをしようとするが、ガッファー(監督の俗称)はそれをしなかった。この点は特に評価されて然るべきだ」と、シュマイケルは指揮官を絶賛している。

 さらに後半戦になると、前半戦から実直に進めてきたラニエリスタイルが浸透していく。真新しさのかけらもない4-4-2は、魅力的ではないが効果的だ。前半戦の好調の最大の要因がマレズとバーディーの得点力だとすれば、残り12試合となった時点で首位を維持できている理由の一つが大幅な失点減少だろう。前半戦19試合で25失点に対して、後半戦ここまでは7試合でわずか4失点。7戦中クリーンシートは4度である。

 前出のコメントからもわかるとおり、シーズン序盤の岡崎は、ある意味チームの実力を懐疑的に見ていた。しかしながら、勝利を積み重ねるごとに、「勢いだけではない」(12月14日のチェルシー戦後)、「(強さの秘訣は)バランス」(マンチェスター・シティ戦後)といった自信へと変わっていった。

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