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本田圭佑 8年前

本田使わず逆戻りのミラン。遅いパス回し、死んだ右サイドの連携…前監督の仕事を潰して得た虚無感

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

本田はなぜ起用されなかったか

本田
出場機会が訪れなかった本田圭佑【写真:Getty Images】

 さてその試合だが、ブロッキ監督は予告通り4-3-1-2のシステムを敷いた。トップ下にはジャコモ・ボナベントゥーラが起用され、決勝点も彼がアシストしたものだった。そして試合後、ブロッキ監督はトップ下の選手にどういうプレーを求めたのかということも、コメントの中で明らかにした。

「ボールに多く触ってパスを回していくようなクラシカルなトップ下ではなく、よく動いて左右のスペースに流れていくようなプレーを求める。そしてFWと連動し、3人で前線のスペースを突くという動きが理想だ。より攻撃的に振ることになるが、守備の負担を減らすことでそれは可能になるのかなと思う」

 確かにそういう動きの違いは、ミハイロビッチ前監督が4-3-1-2のシステムを使った時と比べてもはっきりしていた。当時は、本田やボナベントゥーラには中盤を補完する一人としての動きを求めており、守備の際には中盤に吸収され後方をフォローするような役割を課していた。

 対してブロッキ監督のトップ下は、いわば2トップを後方からフォローするもう一人のFW的存在。2トップの動きに合わせ、流動的に前線で動くというものである。

 ということで、敏捷性の高いボナベントゥーラがまずファーストチョイスとして選ばれ、彼を下げた後にはケビン・プリンス・ボアテンクを使うという選択に至ったのだろう。確かにスピード、特に瞬発力に劣る本田にとっては、戦術的にもやや不利な立場になったということを意味するのかもしれない。

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