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Jリーグ 8年前

磐田、3バックで広島撃破。組織された能動的守備。“ミラーゲーム”以上の戦略

text by 青木務 photo by Getty Images

“広島育ち”の川辺が見た広島戦

 4月26日、オフを消化した磐田は広島戦に向けて練習を再開した。準備期間も短いことからこの日、すでに紅白戦を行っている。主力組、控え組ともに【3-4-2-1】で、明らかに広島を意識した内容となった。そして、控え組の最終ラインの中央に入ったのが、広島から期限付き移籍中で契約の関係上この試合には出場できない川辺駿だった。

 ピッチ上には控え組が主力組をズタズタに引き裂く光景が広がった。川辺は最後尾でパスを散らすだけでなく、ドリブルで持ち運ぶことで相手に的を絞らせない。そして、外に目一杯開いたサイドの選手に展開し、チャンスを作り続けた。

 それでも磐田は3バックで試合に臨み、勝ち点3を奪った。名波監督は試合後、「幸いにもうちには広島育ちの子がいたので、紅白戦では彼を一番後ろにしてポゼッションさせたところ、やっぱり奪いどころが難しくなってしまった」と、名前は出さなかったが川辺について言及している。

「ジュビロの守備が良かったですね。青山さんと千葉さんがいなかったのが本当に大きかった」と話すのは、“広島育ちの子”こと川辺だ。広島は青山敏弘が体調不良から復帰したばかりでベンチスタート、千葉和彦は出場停止だった。攻守を司る2人の不在は磐田にとってプラスに働いた。

 代わりに入ったCBとボランチは横パスやバックパスが多く、攻撃のスイッチを入れるような配球ができなかった。そのポジションで何をすべきか熟知している川辺が、相手の嫌がるプレーを説明してくれた。

「もっと相手(磐田)の前線の選手を走らせるとか、失敗してもいいから縦パスをガンガン入れないといけなかったのかなと。ボランチのところで前を向いたりサイドに散らせれば、ジュビロは取りどころが全然なかったと思うので」
 
 攻撃のリズムになかなか変化をつけられなかった広島。中心選手の不在が影響した面は間違いなくある。一方で、川辺も話したように磐田の守備が機能したのもまた事実だろう。

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