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日本代表 8年前

清武弘嗣が輝いた理由。香川との“ダブルトップ下”を可能にした心境の進化とリーダーシップ

text by 元川悦子

大人しい清武が変化。チーム牽引する存在に

 このダブル司令塔を軸に、ボランチの柏木陽介(浦和)や長谷部誠(フランクフルト)、左右のサイドバックである長友佑都(インテル)と酒井宏樹(ハノーファー)らが有機的に結びついて、日本代表は多彩な攻めを繰り出した。メンバーが大幅に変わった後半はバランスが崩れたものの、欧州勢相手に7ゴールをゲット。ここまでの爆発はハリルジッチ体制初だ。

 功労者の1人である清武は70分間プレーし、香川の2点目、吉田麻也(サウサンプトン)の2点目をそれぞれアシストした。自身のゴールこそなかったが、この日の存在感は同じ2列目を形成した香川や小林悠(川崎)を上回っていたと言っても過言ではない。

 「今回の代表ではヨーロッパの国とできる。自分の立ち位置も最終予選に向かうにつれてどんどん変わってきている。ハリルさんになってから2年目だし、自分はアピールする立場のままでいいのかなとも思う。

 下からも選手が来るので、アピールという意味は大切だとは思いますけど、自分がもっとチームを引っ張っていかないといけない。そういう年齢でもあるし、今日は気合がすごく入っていました」と彼は代表における心境の変化を繰り返し言葉にしていた。

 2011年8月の日韓戦(札幌)で初キャップを飾った頃の清武は、テクニックもサッカーセンスも抜群だったが、自己主張を苦手とする21歳の若者だった。その流れは2014年ブラジルW杯まで続き、グループリーグ敗退直後に「4年後は長谷部さんのようにキャプテンマークを巻いてW杯の舞台に立ちたい」と変化の兆しを垣間見せた。

 ハビエル・アギーレ体制ではそこまでギラギラ感はなく、長谷部や本田についていくスタンスを変えずにいたものの、ハリルホジッチ監督体制が発足し、変化。自身もハノーファーで10番を背負う看板アタッカーになったことで、「自分からアクションを起こさなければいけない」という意識が前面に出るようになってきたのだ。

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