フットボールチャンネル

日本代表 8年前

清武に求められる“タテとヨコ”の使い分け。ハリルJを宿敵オーストラリア撃破に導けるか

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ハリルJが会得した“タテ”のサッカー

 とはいえ、パワープレーという最後の手段を迫られる前に、今回こそはオーストラリアをスムーズに叩きたいところ。イラク戦でボルシア・ドルトムントの香川真司の定位置だったトップ下で先発し、大いなる輝きを放ったセビージャの清武弘嗣は「オーストラリアは現時点で一番強いとは言われてますけど、正直、個々の能力を見れば絶対、日本代表の方が能力は高いと思います」と自信を覗かせた。

 そのうえで「試合中に自分たちがいかに判断するかが次の試合は大事になってくる。日本らしい戦いができないと次はすごい厳しい。ボールの保持率を上げたり、遅攻と速攻を繰り返したり、考えながらやらないと。相手はデカイし、デュエルはもちろん必要ですけど、デュエルを避ける、かわすといったことも考えないといけない。沢山考えながらやるゲームかなと思います」と攻めのバリエーションを広げることが次戦勝利の秘策になるという考え方を示した。

 2015年3月のハリルホジッチ監督就任以来、日本はこれまでのボール回しを主体とした戦術から、激しいデュエルでボールを奪ってタテに速く攻め、ゴールを仕留める戦い方へと一気にシフトした。2014年ブラジルワールドカップのギリシャ戦や2015年アジアカップ準々決勝・UAE戦が好例だが、日本は圧倒的にボールを支配しながらゴールをこじ開けられずに終わるというパターンを何度も繰り返してきた反省もあって、こうした質的変化が求められていたのだ。

 しかしながら、ハリルホジッチ監督の戦術が徹底されすぎた結果、イラク戦前半のように相手に主導権を握られ、シュート数でも互角に持ち込まれる試合がアジア相手でも増えてきた。ミランの本田圭佑もイラク戦後、「本当はこっちが向こうをバカにしたい。それは僕やヤット(遠藤保仁)さんの真骨頂。いろんな意見があるでしょうけど、アジアレベルで言えば、徹底的に相手をバカにするようなプレーは得意としているところ。それを今は求められていない」と現傾向についての不満と疑問を口にするほど、選手たちには少なからずフラストレーションが沸き上がってきている。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top