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日本代表 7年前

【識者の眼】大迫勇也こそハリルJの最適解――。必然の2ゴールに凝縮された“FWとしての理想像”

text by 河治良幸 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

“7対2”を“2対2”に変えた、大迫の駆け引き

大迫勇也【写真:田中伸弥】
ゴールを決めた大迫勇也【写真:田中伸弥】

 その流れで一度ゴール左にポジションを取っていた大迫。中盤で永木がボールを奪い返す瞬間に相手ディフェンスラインのオンサイドの位置に引いた。そして、相手に当たったボールを左の齋藤学が拾って清武につなぐ間にポジションをエリア内の中央に取る。清武がインサイドに持ち出しながらルックアップした時、ゴール前はその大迫とファーに構える本田の2人だけだった。

 オマーンのディフェンスはゴール前に7人いたが、一連の流れで5人がボールサイドに寄っており、大迫にアルムハイニ、本田にアルワラヒが付く事実上の2対2になっていた。そこから清武が右足のキックモーションに入る間に大迫は右にステップを踏んでアルムハイニから離れ、その頭上を越えてゴールに向かうボールの軌道に合わせて前に体を投げ出した。

 「FW1人じゃどうにもならないからね。関係がないとダメだし、今日はうまくキヨくんが僕のことを見てくれたから、うまくゴールに向かうことができた」

 そう振り返る大迫は出し手である清武のイメージを共有し、ボールウォッチャーになった相手のマークを外しながら、DFとGKの間を狙ったボールの軌道に合わせて飛び込むという形を体現して見せた。

 大迫が手前で潰れた場合、ファーでマーカーの手前に体を入れた本田がシュートできている可能性もあったが、大迫の方が勢いを持って前向きに合わせられる状態であり、こうしたシチュエーションで躊躇無く自分が決めに行けるのもストライカーらしい。

<前半42分のゴール>

 2点目は右サイドを起点にした速いコンビネーションから生まれたが、最後は大迫の高い技術とゴールイメージが決め手となった。中央の永木亮太から山口、さらに右に流れた清武にボールが渡ると、清武は中に入りながらワイドに動き出す山口に戻し、さらにタメを作った本田を経由してバイタルエリアで清武が前を向く。

 その時、大迫はオマーン守備陣のギャップを見逃さなかった。

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