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香川真司はレアル・マドリーに通用するか? ~欧州CL・ベスト16の見所~

text by 植田路生 photo by Kazuhito Yamada

香川の持つ「収縮力」と「展開力」とは?


香川の持つ「収縮力」と「展開力」【写真:山田一仁】

 ドルトムント時代の香川を思い出して欲しい。彼が最も高い能力を発揮したのがレシーブ力だ。

 香川はDFに囲まれた狭いスペースでもボールを受けることができる。ここで起きるのが「収縮」。収縮するのは相手DFだ。2人ないしは3人のDFが香川に引き寄せられることで、元々そのDFたちがいた場所に僅かなスペースができる。

 次に香川が行うのは「展開」。ボールを受けた後、空いたスペースに斜めのパスを出し、そこにFWやMFが飛び込み、チャンスをつくる。香川からの展開で、グロスクロイツやブワシュチコフスキ、レバンドフスキらがフリーでボールを受ける場面は何度も見られ、ドルトムントの崩しのパターンとなっていた。

 この「収縮力」と「展開力」を最も効果的に行えるのが、香川が中央でボールをレシーブしたときだ。香川は360度の展開をすることができる。それがサイドでボールを受けた場合だと、その広がりは180度に限定されてしまう。DFが次のパスの出しどころを予想するのはずっと簡単になる。

 ユナイテッドは伝統的にサイドアタックが強い。そこに中央からの崩しのパターンが加われば、攻撃力は格段に増す。また、FWのルーニー、ファン・ペルシーはどっしりと構えてポストプレーをするようなタイプではない。香川にクレバリーやキャリックからボールが入ったときに、FWの2人がダイアゴナルに動き出せば、ドルトムント時代のような「展開」が見られるだろう。

 トップ下香川がつくり出す「収縮」と「展開」。それが効果的に発揮されるかどうかが、レアル・マドリーとのビッグマッチを制するためのカギになるだろう。

【了】

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