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インタビュー『高橋秀人、サッカーを探求する』(後編)

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

高橋は“遠藤の代役”たり得るのか


【写真:松岡健三郎】

 日本代表を取材している記者から、「ザッケローニ監督は高橋を気に入っている」という話が伝わってくる。

 ザッケローニはポジショニングや体の向きなど、細かい部分もおろそかにしない監督なので、戦術理解度の高い選手が好みなのかもしれない。

「早く指導者になりたい」(高橋)

 ある意味、将来の監督が選手をしているのが、現在の高橋なのかもしれない。それが強みにもなっている。

 代表のボランチといえば、“遠藤の代役”がよく話題になる。高橋もその1人に挙げられているが、遠藤とは違うタイプの選手だ。実は、監督はすでに遠藤の後継者探しは諦めた感がある。もし遠藤が使えない事態になったら、違うタイプの選手による、違うチームにするつもりなのではないか。

 98年W杯で優勝したフランスのエメ・ジャケ監督も、ジダンの代役は選ばなかった。「ジダンの代役はいない。使えないときは違う選手による、違うやり方になる」

 事前にそう答えていた。ところが、現実にジダンが欠場した2試合では、何度も試して代役にならないことがわかっていたはずのジョルカエフを代役として使っていた。

 結局のところ、「違うやり方」などなく、同じやり方のセカンド・ベストがあるだけだった。“代えの効かない選手”が使えないときの難しさだ。

 ザッケローニ監督が「違うやり方」を考えているなら、その準備は早く始めたほうがいいと思う。それが高橋なのか、細貝なのか、他の誰かなのかは判然としないが。

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