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インタビュー『高橋秀人、サッカーを探求する』(後編)

text by 西部謙司 photo by Kenzaburo Matsuoka

自分の試合のビデオは3~5回見る

――自分の試合は?

高橋 3~5回は見ます。試合後に自分のプレーについては分析しますけど、その後に1回目を見るとフィードバックがズレていないと感じます。ところが、2回目になるとズレてくるんです。3回目は、こっちの選択肢があったなとか、より細かいところが見えてきて、だいたいそこでメンタルがヘコむので、4回目からは自分のいいシーンしか見ません(笑)。

 ただ、10個課題を見つけたとして、10個全部に手をつけると大変なことになります。それで苦労したこともあるので、いまは2つに取り組んで、残りの8個は置いておくという作業が大事かなと。すぐに直せるもの、癖をつけていかないとできないもの、2、3年かけて取り組むべきものがありますから。10個わかった自分に酔っちゃうこともあるので気をつけています。「ビデオを客観的に見過ぎると、監督目線になってしまう」

 監督の目線でチーム全体を見られる。これは高橋の長所ともいえる。

「ヤットさんは少なくとも5人ぐらいは常に見ているイメージです。僕は1人ぐらい(笑)」

 ただ、実際に目で見えていなくても、抽象的にイメージする力がある。よりセオリーが効きやすい守備面では大きな武器だ。そこに経験値を加え、人を動かす立場になったとき、高橋は遠藤とは全く違うタイプの“ピッチの監督”になれるのかもしれない。

【了】

初出:サッカー批評issue60

プロフィール

高橋秀人
1987年10月17日生まれ、群馬県出身。東京学芸大学在学中、2008年7月から特別指定選手としてFC東京の練習に参加。2009年夏季ユニバーシアードのサッカー日本代表に選出され、主将として銅メダル獲得に貢献。2010年にFC東京へ加入し、翌年からレギュラーに定着。2012年4月に日本代表に初召集され、5月のアゼルバイジャン戦でA 代表初出場を記録した。国際Aマッチ4 試合出場。


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