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稲本潤一が超えてきた日本人の壁 ~海外でプレーする選手に求められること~(後編)

text by 戸塚啓 photo by editorial staff

ドイツでは日本人対決が当たり前となっている

――稲本選手自身、試合に出られない時期を経験しています。それも、成長につながっていきましたか?

「素晴らしい環境でサッカーができていると思っていたので、時間をムダにしたくない気持ちがありました。精神的に腐ったらもったいないでしょう。試合に出られなくても練習からいいプレーを心がけようというモチベーションで常にやってきました。

 それでも使ってもらえなくて、監督から『いらない』と言われたら、次のチームを探すしかない。それは、欧州でも日本でも、ずっと変わらないスタンスです」

――そういう環境に置かれても、日本人選手は頑張ることをあきらめない。これはもう、欧州で成功するための条件にあげていいと思います。

「うまくいかない状況でも歯を食いしばって進もうとするメンタリティが、日本人は強いですね」

――外国人選手は、良くも悪くも割り切りが早い。

「日本人の場合、そういうところはないですよね。まずは頑張ってみる。それがいい方向へつながるところはあるでしょう。たとえばドイツは、地道にしっかりやることが評価される国です。戦術的な部分が他の国に比べてしっかりしているので、サッカーのスタイルとして日本人は入っていきやすい」

――いまお話の出たドイツ・ブンデスリーガは、日本人対決が当たり前になっています。

「ドイツは衣食住を含めたピッチ外の環境も整っているので、僕ら日本人からするとストレスが少ないんです。もちろん、能力を買われて移籍しているわけですし、日本人全体の評価が上がってきて、個々が力を出しやすい環境になっているのは間違いない」

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