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日韓16チームによる相互錬磨を通じ、大学サッカーのレベルアップを図る

text by ひぐらしひなつ photo by Masaru Goto

大学生は社会に出る直前の段階

──ラフプレーということにはならないんですね。

「実際それに近いですよね。でも、やられた方も指導者も何も言わないんです。それが当たり前になるほど“ボールを奪う”という文化が浸透しているのでしょいう。ジャッジメントの基準においても、ヨーロッパのリーグではあまり細かくファウルを取らないじゃないですか。やられたらやり返すみたいなところもありますし、紅白戦でチームメイトが怪我をすれば自分が試合に出られるから削ってやれという考え方もあるみたいで。

 削られて怪我をするとポジションを奪われてしまうから、じゃあどうやって怪我させられないようにプレーするかと頭を使う。本当にケンカになるぞっていうレベルの激しさだったんですが、やはり下の年代から一貫した指導の下でそういう激しさを経験しておくと、年齢を重ねるごとに選手が強く育っていく。

 また、ドイツでは午前中で学校が終わって午後はクラブでサッカーするなり、好きなことをする。そういう取り組みを日本でもやれればいいんでしょうが、現在の教育システムではなかなか実現するのは難しいですよね。まったく同じことをするには余程のことが起きないと無理だと思います。だから、現状のなかでどうするかと考えるんですが、ひとつの局面で簡単に答えが出せるものではないですよね」

──社会に出る直前の段階という意味で、ピッチ外での育成も、必要とされるわけですよね。

「大学生になっても時間が守れなかったり基本的な生活態度に難があったりという選手がいて、その原因が指導者にあるのか保護者にあるのか、また別のところにあるのかということもあるんですけど、とにかく出来ていないことに対してはひとつひとつ根気強く対処して、必要性を気づかせていかなくてはなりません。そうしなくては彼らが社会に出たときに困ることになります。

 彼らが大学を卒業したあかつきには、社会の構成員として世の中を支えてもらわなくてはなりませんから。そういう部分でも今回のフェスティバルでは、九州の大学の部員に運営を担当させます。審判も、トップの試合はレフェリーカレッジと九州サッカー協会で捌いてもらうんですが、副審やBチームのレフェリーや設営、片付けなどは、すべて九州の大学が会場ごとに分担して行う。

 主催し環境を準備する立場と参加する立場、両方を経験することで『準備してくれる人たちがいるから自分たちが出来ている』ということを実感させ意識づけたい。ゆくゆくは指導者になりたい選手もいるでしょうし、そういった経験も積んでほしいというのが、我々としての狙いでもあります」

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