「余命5年」 “ 死”に近づくリーガ・エスパニョーラ

2013年05月07日(Tue)14時02分配信

text by 小澤一郎 photo Ichiro Ozawa
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離れていくサッカーファン

――もうサッカー界を社会から隔離できない時期に来ているということですね?

「そうです。実際サッカー界からファンが離れていっている理由の一つが、子供たちにとって選手があまりに遠い存在であることです。私が子供の頃は憧れの選手のサインをもらったり、握手をしたりすることは比較的容易いことでした。

 ただ、今の選手はクリスタル製のケージの中に囲われているような存在です。つまり、一般社会とのコンタクトを持っていません。エスパニョールで働いていた時から常に言っていることなのですが、選手たちは週に1日は学校訪問をして、子供と遊び、子供にチケットをプレゼントすべきです。

 それによって子供たちは選手に憧れを持ちます。今は選手と話すこともできず、選手は神様のように扱われています。これは由々しき事態で、選手会は何らかの行動を取るべきです。選手やクラブ側がもっとファンに近づく努力をするべきです」

――スペインサッカー界の近い将来と遠い将来の展望をお聞かせ下さい。

「近い将来は、話してきた通り、バルセロナとレアル・マドリーの二強状態が少なくとも2、3年は続くでしょうし、その2、3年で大きな問題が発生するでしょう。それはこれまで述べてきたような問題です。クラブによっては経営的に耐えられないクラブも出てくるでしょうね。

 リーガというコンテンツそのものを完全リフォームする必要があるでしょう。どういう形であれ、変化は必要です。それは、コンペティティブなリーグにするための変化です。バルセロナもレアル・マドリーも最終的には、犠牲が必要だということを理解すべきです。

 例えば、今季バルセロナがグラナダと対戦したとき、スタジアムの観客動員は6万5000人程度だったと思います。カンプ・ノウには10万人近い収容人数があるわけです。レアル・マドリーもチャンピオンリーグを戦いましたが、試合によっては1万2000枚くらいのチケットが売れ残りました。セルタ戦のチケットも1万席くらいの空席があります。

 つまり、彼らも考えざるを得ないということなのです。サッカーのためになることを考えていかなければいけないですし、そのために責任を取らなければいけないのです」

【了】

初出:欧州サッカー批評SPECIAL ISSUE07

プロフィール

ホセ・マリア・ガイ
1953年5月生まれ。バルセロナ出身。経済学者で30年以上、バルセロナ大学経済学部で教鞭をとる。数年前からリーガ・エスパニョーラを含む欧州5大リーグの財政状況を研究。過去にエスパニョールの経済委員として理事会に所属。現在はリーガ所属の複数のクラブでアドバイザーも務める。正確なデータと高い専門性に裏打ちされた研究報告は近年欧州サッカー界で評価されており、UEFAの本部で研究発表した経験もある。最新の研究結果は、2012年9月発表。

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