「余命5年」 “ 死”に近づくリーガ・エスパニョーラ

不健全なクラブ経営は、リーガ・エスパニョーラの「寿命」を縮めている。
増え続けるクラブの負債、300名を超す選手への給与未払い。
経営破綻寸前のクラブを抱えるリーガはこれからも存続し続けられるのか?
バルセロナ大学経済学部教授であり、国内の複数クラブの経営アドバイザーを務めるホセ・マリア・ガイ氏がリーガの現状と未来について語る。

2013年05月07日(Tue)14時02分配信

text by 小澤一郎 photo Ichiro Ozawa
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【欧州サッカー批評SPECIAL ISSUE07】掲載

不公平なテレビ放映権料

――最新の調査結果を発表された際(12年9月)、「リーガ・エスパニョーラは余命5年」という発言がありましたが、どういう意味でしょう?

「リーガ・エスパニョーラは、バルセロナとレアル・マドリーによって二強化しています。昨季のレアル・マドリーはリーガで勝ち点100を獲得し、バルセロナは91でした。ただ、問題はR・マドリーとバルセロナが獲得した勝ち点ではなく、二強と3位バレンシア(勝ち点61)とのあまりに大きな勝ち点差です。2位と3位の勝ち点差が30ありました。当然、二強とそれ以外の対戦ゲームでは大差がつきます。バルサやレアル・マドリーは5点、6点と大量得点を奪い、勝利しますよね。

 二強のファンは勝ちゲームを観られるので試合観戦に興味を持ちますが、それ以外のクラブにタイトル獲得の望みは全くありませんし、この先10年は何のタイトルも獲れないとわかっています。当然、そのようなファンはスタジアムに足を運びません。現在のリーガのスタジアムには空席が目立ちますが、それはリーグ自体が二強独占化し、競争力が失われているからです。プレミアリーグでは終盤まで4、5チームによる激しい優勝争いがあり、最後まで優勝チームが決まりません。

 ブンデスリーガも最終節まで優勝争いがもつれ込みます。フランスでは、昨季モンペリエが優勝しました。イタリアのセリエAもクラブ間の実力は伯仲しています。一方でリーガは完全なる二強の優勝争いで、エンターテイメント性はありません。だからこそ、私は『スペインサッカー界は死が近い』と発言しています」

――テレビ放映権の不公平な分配方法もリーガの大きな問題です。

2010/11 シーズン クラブ別テレビ放映権料
2010/11 シーズン クラブ別テレビ放映権料

「リーガでは、バルセロナとレアル・マドリーの2クラブにテレビ放映権料の50%が集中します。売上で見ると約66%、3分の2がレアル・マドリーとバルセロナのものとなっています。問題の解決は簡単で、テレビ放映権を一本化すればいいのです。しかし、そのためにはバルセロナとレアル・マドリーの二強が『より多くの収益を期待できる』という確信を持って譲歩しなければいけません。

 バルセロナはその意思がありますが、レアル・マドリーについてはまだわかりません。リーガ・エスパニョーラの放映権総額は約6億ユーロで、イタリアは約9億ユーロ、プレミアリーグは約13億ユーロとなっています。LFP(スペインプロサッカーリーグ機構)が上手くテレビ放映権を管理し、一括で欧州、日本のあるアジア、アメリカ、南米に売却することができれば、間違いなく6億ユーロ以上で売れます。

 それはリーグとしての収益増を意味します。収益が上がり、二強への分配料が今より落ちても、今以上の収入を得る可能性があります。当然、他のクラブもより大きな収益を得られます。現状は、リーガ3番手のバレンシアのテレビ放映権料(4200万ユーロ)が、プレミア下位のウィガンの放映権料(4900万ユーロ)よりも下なのです」

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