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ドイツで身に付けた確かな守備戦術 成長を続ける内田篤人の課題だった“対角線の守備”とは?

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

かつては守備で甘さが見られたことも

 後半9分にはシャルケ側のCKの裏を突かれ、内田と共に後方をカバーしていたコラシナツのヘッドクリアが相手に拾われ、バイタルエリアでボールを持ったクルーゼの縦を切ったものの、外側を走るローゼンタールにパスを出される形から、懸命なブロックも間に合わずに同点ゴールに結び付けられた。

 しかし、すぐに味方が同点としたところから、同サイドの防衛と逆サイドからのクロス対応の両面をしっかりこなし、終盤に前線の枚数を増やしたフライブルクの強引な攻撃に対しても、最後まで腰を引かずにシャルケ陣内を守り抜いたことは価値があった。

 若くしてJリーグの鹿島で頭角を現し、19歳で日本代表デビューした内田は攻撃面で高い評価を得ながら守備、特にロングボールや逆サイドからの“対角線の守備”の甘さが見られ、彼の持ち場から失点する場面もしばしば見られた。

 しかし、ドイツの地で肉体的な強さだけでなく、確かな守備戦術も習得したことが、レギュラーポジションの確保と安定したパフォーマンスにつながっているのだ。

 もちろん日本代表でも攻守に渡る貢献を期待される内田。3月のヨルダン戦では相手FWに単独で突破されてピンチを招き、センターバックの吉田が破られる形で決勝点を許した場面では全速力でカバーに走るのが遅れるなど、故障明けだったとはいえ、シャルケの主力選手らしからぬ“軽さ”も見せてしまった。

 そのヨルダン戦後に「選手がそれぞれのチームでしっかりプレーし、結果を出していくことが大事」と語っていた内田はブンデスリーガの終盤戦で、その姿勢をしっかり証明してきた。今度は日の丸を付けて来るW杯予選、さらにはブラジルで行われるコンフェデレーションズカップで真価を発揮することを期待したい。

【了】

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