なぜイタリアで3バックが流行したのか? 超進化型システムのメカニズムに迫る(後編)

近年、セリエAで爆発的に流行した3バック。廃れた戦術はなぜリバイバルされ、イタリアにおいて戦術の潮流となったのか? 最先端のメカニズムを現地記者が徹底解析する。

2013年07月16日(Tue)13時36分配信

text by 神尾光臣
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【前編はこちらから】 | 【欧州サッカー批評7】掲載

司令塔を最終ラインに下げたパレルモ

パレルモ
パレルモ基本布陣3-4-2-1
苦戦が続くパレルモだが、画期的な戦術を用いている。ボランチが本職のドナーティのCB起用だ。後方からスムーズな組み立てが出来るようになったため、両ウイングバックの攻撃参加も積極的に行えるようになった。絶望的だった開幕当初と比べると形にはなってきているが、守備時のドナーティは弱さも見せるため、そのカバーをどうするかが今後の課題だ。

 この通り、成功を遂げているクラブにとって、3バック導入のメリットはそれぞれ大きかった。だがサッカーにおいては、一つのシステムが決定的な回答につながるとは限らない。むしろ抱える選手のキャラクターに合わない場合、3バックの導入はチームの機能不全を助長することの方が多い。

 今季、3バックの導入にもろに失敗したのが最下位のペスカーラと、そしてミランだ。昇格組のペスカーラは開幕当初、ゼーマン時代を踏襲し4バックで戦っていた。しかし失点がかさみすぎたため、CBの枚数を増やして守備の安定化を図ろうとする。ところがこれが裏目に。ウイングバックがアグレッシブに攻める一方、カバーリングに1枚を増やした位では守備の安定化につながらず、まんまとカウンターを狙われて破れるというパターンに陥った。結局ストロッパ監督は、11月のシエナ戦敗戦(1-0)の後に解任された。

 一方ミランのアレグリ監督も、開幕から続いた不振のムードを3バックによって断ち切ろうとした一人だ。前線はエル・シャラウィを左FWに使った3トップで徐々に固まっており、それを活かして3-4-3を敷こうとした。しかし完全な空振りに終わる。アウトサイドのデ・シリオにせよコンスタンにせよ、高い位置を取るのか、低い位置を取るのかが中途半端。そしてCB陣もボネーラ以外は広いゾーンのカバーに慣れていなかった。第10節のパレルモ戦では中盤を支配され、2点を先行される。それ以来アレグリ監督は、二度と3バックを実戦で使っていない。

 そのパレルモも、3バックで戦うものの苦戦が続いている。第3節から、あのガスペリーニ監督が就任。「自分はこのやり方しか知らない」と3バックを敷き、ウイングバックとサイドアタッカーが連動したサイド攻撃を作り上げることには成功した。ただ、なかなか試合を通じてコンスタントにリズムが持続しない。

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